第1章 リッパー|♦無自覚
荘園の主からの手紙で
ハンターの館では、ハンター1人につき、
メイド1人がつく事になった
私はリッパーさんの担当だ
彼は、初対面の時にそっけなく
「あぁ、貴女が例のお手伝いさんですか。」
と、言うと
よろしくお願いします、という私の挨拶も
聞いていたのか分からないが、
そのままスタスタとその場を立ち去る
後ろ姿を追うが彼の長い脚と
歩く速度も相まって
歩いていたらいつまでも追いつかない
それどころか、どんどん離されてしまうから
小走りになりながら追いかける
……コツンコツン
……トトトトッ
彼の靴の音と私の足音だけが響く静かな館
夜になったら、より一層怖そうだなあ…と
少しの不安を感じながら
主であるリッパーについていく
「おや、ついてこれたんですね。」
ここが私の部屋ですよ。今日から
よろしくお願いしますね、メイドさん
息が上がってる私を愉快そう
に見つめながら挨拶をしてきた
部屋の主、リッパー
『…ふぅ。
よろしくお願いします、です。』
改めて息を整えながら挨拶を済ませる
簡単に部屋の説明をしてもらい
私の部屋も案内してくれた
部屋はリッパーさんの隣だ
「無いとは思いますが、
万が一何かあれば私に言いなさい。」
『あ、ありがとうございます…!』
自分用のお部屋も貰えるなんて
嬉しいなぁと喜びを隠しきれずに
気分がルンルンになってるのを
「貴女は随分と分かりやすい人ですね…」
笑いが堪えきれずリッパーが笑う
メイドを寄越すだの、荘園の主と言えど
何を考えてるんだと思ってましたが
主に感謝するべきなのかもしれませんね…
面白くなりそうだな、
と思わず仮面の下でにやける