第14章 仮説検証
*主人公side
「それでは——
橘リョウ 対 常闇踏陰、START!!」
2回戦の相手は常闇くん。
彼の個性”ダークシャドウ”は、攻撃力・防御力共に優れていて、なかなかに手強い。
1回戦では、試合開始直後に対戦相手を瞬殺していたのだけど—-
この試合では、なかなか攻撃を仕掛けてこない。
こちらの様子を伺っているようだ。
私は、半径3メートルくらいの規模で放電をしながら、
常闇くんに向かってゆっくりと歩み寄る。
『常闇の個性、すっごい強いよね。
正直、弱点なんて無いんじゃないかと思ってたよ。』
「......」
ただ、私にも勝算がないわけではなかった。
『騎馬戦の時、ダークシャドウが私の電撃を避けてることに気付いたんだよね。
その時はなんとも思わなかったんだけど、よくよく考えると不思議だなと思って。
そこで、2つの仮説を考えたの。』
「.....ほう」
『1つは、ダークシャドウが人間と同様の痛覚を持っているから。
痛いのは嫌だもんね、避けるのも納得できる。』
「なるほど。もう1つは何だ?」
常闇くんは、私の目を見ながら一歩後ろに下がった。
表情は読めない。
『もつ1つは——-ダークシャドウが光に弱いから、とか?
なんか闇っぽいし、真逆の属性には弱いのかなって』
「!?......やはり推薦入学者、頭がキレるようだな」
良いことを聞いた。
弱点の無いように見えた彼の個性だが、実は光に弱いらしい。
つまり、放電して常に距離を取りながら遠距離攻撃を仕掛け続ければ、私にも勝機があるというわけだ。
『この勝負....
勝たせてもらうね!』
私は、全身から青白い電撃を放ちながら、常闇くんに駆け寄った。