第12章 心配性
*主人公side
第3種目の1試合目、デクくんと心操くんの試合は、
観客側も手に汗を握る展開となった。
試合自体にはデクくんが勝利したものの、
それまで注目されていなかった普通科のダークホース・心操くんも大奮闘し、
観客席からは心操くんに向けた歓声も多く聞こえた。
『うっ...2人とも良かった......!』
「おいおい、いちいち泣いてたらキリねぇぞ〜」
『泣いてないよ、目バグってんじゃないの』
「ははっ、頑固なー」
クラスメイトが勝った嬉しさと、
コンプレックスを抱えている普通科の友人・心操くんが脚光を浴びている嬉しさに目を潤ませていると、私の両隣に座っている切島・上鳴ペアが絡んできた。
『そんじゃ、そろそろ私も控室行ってくるね』
「お、ついてくぜ!ひとりじゃ緊張するだろ」
「リョウ、ヘラヘラしてると思いきや、なんやかんや緊張しぃじゃん?
きっと俺らのノリが恋しくなるぜ?
直前まで面倒みてやるよ!な!」
明るく肩を組んでくる2人。
なんだか、大きな犬とじゃれてる気分。
『もー、1人で大丈夫だよ、ばーか。
でも、ありがとね!』
「橘ー!いつも通り目立ってこいよー最強美少女!」
『芦戸ちゃんもありがと!行ってきまーす!』
応援してくれた3人に思いっきりハグをして、
私は選手控室に向かった。
「.......あいつ華奢に見えて実は結構胸あるな」
「殺すぞ電気野郎」
「......冗談です」