第10章 確執
*主人公side
「リョウは左翼で発電して、敵を近付かせるな。
八百万は右翼。絶縁体やら防御・移動の補助。
飯田は先頭で機動力源、もといフィジカルを生かした防御。」
『了解!任せてっ!』
チームメンバーを決めるや否や、焦凍は首尾よく指示を出した。
彼のことだから、きっと第一種目でデクくんに負けてしまったことを気にしているのだろう。
雰囲気がピリついている。
...よし、私も頭を切り替えていかないと。
「轟くんは氷と熱で攻撃・牽制ということか」
「いや...
戦闘において、左(熱)は絶対使わねぇ」
『...!』
焦凍が家に来たあの日。
左半身の個性が父親譲りであることや、その父親と不仲であることを少しだけ教えてくれたのを思い出した。
最近ずっと不機嫌そうなのは、お父さんのことと関係があるのかもしれない。
ただ─それがわかったとことろで、今の私にできることはなにもない。
『よっしゃ!
みんな....勝ちに行こうぜ!』
私は、チームのピリついた雰囲気を和らげるために笑顔でグッと親指を立てた。
チームの士気を上げること...これが、今の私がチームのためにできる最大の貢献だ。