第9章 宣戦布告
*主人公side
雄英体育祭、本番当日。
天気は快晴。絶好の体育祭日和だ。
いつもは騒々しい1-Aのクラスメイト達だけど、
開会式前の控室は静かだった。
みんな口には出さないけど、緊張感がひしひしと伝わってくる。
かくいう私も、柄にもなく少しだけ緊張していたので
一人で精神統一をしていた。
耳にイヤホンをつけ、イスの背もたれに体重をかけ、天井を仰ぐ。
好きな音楽を聞きながら鼻歌を歌うと、緊張のせいで早くなっていた心臓の鼓動が落ち着く。
ふと、視界の端に映る勝己が口をパクパクと動かしているのに気付いた。
口の動きを追ってみると....
「ま」「ぬ」「け」....?
『聞こえないと思って悪口言ったろ』
ついイヤホンを外してつっこんでしまった。
「ハッ、あまりにもアホ面だったもんでつい口に出ちまったわ」
『もう〜、今は精神統一で忙しいの!邪魔しないで!』
「あ?珍しく深妙な顔してっからわざわざ相手してやってんだろうが」
親指を下げられた。セリフと言動が一致してないにも程がある。
心配してくれてたのか喧嘩売られてるのかわからないな...
「爆豪、お前なんやかんやリョウのこと好きだよな〜
体育祭の前にいちゃついてんじゃねーぞ」
「てめぇの目は節穴か?電気野郎」
勝己が上鳴に悪態をついたのとほぼ同じタイミングで、
控え室がざわつき始めた。