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電撃少女はヒロインになりたくない

第7章 君の個性


*主人公side


放課後。
職員室での用を終えた私は、ふとした思いつきで、いつもと違う道を通ってA組の教室に戻ろうと思ったところ、すっかり迷子になってしまった。

ただでさえ広い雄英高校の校舎。
教室が並ぶエリアはどこも道が似ている。



『このあたり...見慣れないし、普通科のエリアかな?
放課後とはいえさすがに1人くらい残ってるよね』



仕方ない、周りの学生に適当に声をかけて、教室への戻り方を教えてもらおう。
そう思いながら、通りがかった教室の扉を開ける。



「...お」


『あ、心操くん!』



我ながらなかなかの強運だと思う。
適当に立ち寄った教室に、数少ない他クラスの友人がいるだなんて。


「どうしたんだ、こんなとこまで遥々。」


『えーっと...校内を探検してて、なんとなく立ち寄ってみた、的な』


「....」



やってしまった。
咄嗟になけなしのプライドを発揮して、しょうもない嘘をついてしまった。
心操くんの怪訝な目が痛い...!



『...ってのは冗談で、あの...迷っちゃった、へへ』


「校内で迷子って...天才だな。」



心操くんこそ、嫌味の天才だと思う。



『ありがとう...でもまぁ、あれだね!こうしてまた心操くんに会えたし、迷ってみるもんだね!』


「....物好きなやつだな」



ため息交じりに頬杖をついて窓の外を見る彼の表情は、いつも通り気怠そうで、何を考えているかよくわからない。
でも、同じクラスにはいないタイプだし、ミステリアスで何だか気になってしまう。

思い立ったらすぐ行動、
私は心操くんの前の席に座り、椅子ごと後ろを向いた。


『心操くん、この前聞きそびれちゃったんだけど』


「ここに居座るつもりか」


『いいじゃん!仲良くなりたいの!』


「とことんマイペースだな」


『心操くんの個性ってどんななの?』


「...俺は普通科だぞ。無個性の可能性は考えなかったのか?」


『初めて会った時、もともとヒーロー科志望だったって言ってじゃん?だから、何かしらの個性はあるのかと思って』


「...よく覚えてんだな。別に、大したもんじゃねぇよ。そもそも、ヒーロー向きの個性じゃねぇし。」


目をそらされてしまった。
個性の話、地雷だったかな?
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