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電撃少女はヒロインになりたくない

第5章 普通科の彼


*主人公side



学生たちの声で賑わうお昼休みに、突然けたたましい警報が鳴り響いた。

何者かによってセキュリティが突破されたらしく、屋外への避難を支持する校内放送が流れる。
廊下は避難を急ぐ学生で溢れかえり、ラッシュ時の満員電車のような状況になった。

そんな中、身長があまり高くない私は、人の流れに揉まれてしまい、一緒にいたデクくんやお茶子とはぐれてしまった。

なんとか窓際に寄り、人混みを逃れようとしたのだけど、背後の人にぶつかって体がよろけてしまう。

やばい、転....



「....っと。
おい、大丈夫か?」



....ばなかった。
近の人が腕を捕んで、私を窓際に寄せる。
さり気なく、人混みとの間の壁になってくれたみたい。


なんか....壁ドンていうのか?最近やたらこのシチュエーションが多い気がする。


なんてことを呑気に考えながら見上げると、知らない男子生徒だった。
紫色の髪の毛に、クマの目立つ顔。
気怠そうな雰囲気は、なんだか相澤先生に少し似ている。
身長が高くて大人びているし、上級生なのかな。




『だ...大丈夫です。ありがとうございます。』


「....そうか」



笑顔の私とは対照的で、彼はちっとも笑わない。
感情が全く読めないけど、助けてくれたし悪い人では無い、はず。



『えっと...こんなタイミングであれなんですけど
...お名前聞いても良いですか?私はヒーロー科1年の橘リョウです。』


「心操人使....普通科1年だ。」




おお、同じ年だ。
しかも別の学科!なかなか交流を持つ機会がなかったから、ここで出会えてラッキー!




『他のクラスの子と初めて会えて嬉しい!よろしくね!』




意気揚々と自己紹介をする私を見て、目の前の彼は少し驚いたような表情をした。



「....良いのか?天下のヒーロー科に行くようなやつが、普通科の俺なんかと握手して」


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