第4章 ご近所さん
*主人公side
最寄り駅で電車に降りる頃、私の顔の赤さはすっかりひいていた。
あの後、勢いにまかせて喋り倒したおかげで、何とかいつも通りの私のペースに戻すことができた。
『最寄り駅が同じなのは知ってたけど、まさか家もご近所さんとはね。それじゃ、私スーパー寄ってくね。』
「....お前、料理するのか」
『何だその意外そうな顔は。素直か。私ね、一人暮らししてるの。親は海外で働いてて。』
「そうなのか..色々あるんだな、お前も」
『別に、あんまり苦労は感じてないけどね。結構快適なもんだよ。』
「心細くなったりしないのか?」
『1人の時間も好きだから、今の所は大丈夫かな。でも、たぶん寂しくなっちゃう時もあるから、時々遊びにきてよ。今日クラスメイト達にも声かけたから、みんなでホームパーティーしよ!』
「...ああ」
『また明日ね!』
「じゃあな。気をつけろよ。」
さて、今日の夜ご飯は何を作ろうかな
なんてことを考えながらスーパーに入ろうとすると、焦凍に名前を呼ばれた。
「...リョウ」
『ん?』
「お前でも、照れることってあるんだな」
『...っ!』
「また明日」
最後に挨拶をした瞬間、少しだけ焦凍の口角が上がっているように見えた。
電車の中で動揺していたこと、バレていないかと思いきや
全て見透かされていたのかもしれない。
なんなの、私の完敗だ....
こうして、
この不思議なクラスメイトに、私はこれからどんどん振り回されていくのだった。