第22章 ヒーローインターン
*緑谷side
こうして見ると改めて思うのだけど、リョウちゃんと話しているときの轟くんは、普段よりも口数が多いし、表情もかなり穏やかに見える。
それはもう、体育祭前の彼とは全くの別人のようだ。
そして──ルイさんの影響なのだろうか、
ここ最近、轟くんの過保護っぷりが加速している気がする。
もっとも、彼自身は無自覚なのだろうけれど。
一方のリョウちゃんも、轟くんの態度の変化には気付いていないようだ。
モテ慣れているというか、妙に抜けているというか...
人のことだと鋭い洞察力を発揮するのに、自分に向けられている好意には疎いんだな。
『それじゃあ、そろそろお昼休憩終わるから戻るね』
「もうそんな時間か......
じゃあな、頑張れよ。」
笑顔で手を振るリョウちゃんに向かって、轟くんは名残惜しそうに挨拶をして、電話を切った。
なんだこれ、
うまく言えないけど、なんか甘酸っぱい...!
「なに変な顔してんだ緑谷。
携帯、ありがとな。」
「うん。よかったね、轟くん。
リョウちゃん元気そうで。」
「先程よりも顔が晴れやかになったな、轟くん!」
「そうか?気のせいだろ」
そういえば、いつか麗日さんが「2人を見ていると、微笑ましいような、むずがゆいような、不思議な気分になる」と言っていたっけ。
僕にもようやくその気持ちがわかった気がする。
いつもより楽しそうな轟くんを見るのはなんだか嬉しいし、
尊敬している2人が仲良くしている様子を見るのは好きだ。
余計なお世話かもしれないけれど、これからどうなっていくのか、近くで見守らせてもらおうっと。