第22章 ヒーローインターン
*主人公side
ヒーローインターンが始まり、ヒーロー科の生徒がそれぞれのインターン先に派遣されている中、念願叶ってパパの事務所でインターンをすることになった私は、フランスを訪れていた。
プロヒーローとして活動するパパは、本拠地のアメリカを中心として複数の国に支部を構えており、その時に抱えている案件に応じて、旅をするように移動しながらヒーロー活動をしている。
ちょうどこの期間は、フランスで政治的に大きな行事があり、ヴィランが活発化する恐れがあるということで、パパの活動範囲に合わせて私のインターンもフランスで実施することになったのだった。
フランスには幼少期に少しだけ滞在していたことがあるので、生活に不自由することはなく、むしろちょっとした帰省気分だった。
その上、今回はパパの事務所に所属する気さくなプロヒーロー達が良くしてくれたので、インターン自体はとても順調で、楽しくて学びのある時間を過ごすことができた。
「それじゃあリョウ、パトロールに行こうか。
...っとその前に、携帯が鳴ってるよ。ボーイフレンドかい?
パパに見つかる前に返信しなよ。」
『もう、そんなんじゃないですよ!
ちょっとだけ失礼します。』
──そう、この時までは。
街中のパトロールに出かける直前、日本からとある連絡が届いた。
『.....なに、これ』
送り主はデクくん。
送られてきたのは──位置情報。
テキストは一文字もない。
ただの位置情報だけが、A組のクラスメイトのグループラインで一斉送信されている。
送信ミス?
いや、電気や芦戸ちゃんならまだしも、デクくんがそんなことをするタイプには見えない。
返信してみたけれど、しばらく経っても既読マークがつくことはなかった。
妙な違和感を感じる。
電話をかけてみたけれど、案の定出なかった。
デクくんと仲の良い焦凍と飯田君にも電話をかけてみたが、誰も出ない。
じわじわと、嫌な胸騒ぎがする。
デクくんから送られてきた位置情報には見覚えがあった。
「保須市」──確か、飯田くんのインターン先の事務所がある地域だ。