第16章 女子会
*主人公side
波乱に満ちた恋バナの下りも一通り収束し、
女子会はお開きの時間が近付いていた。
「──そっかぁ、橘は親元離れて一人暮らししてんだね。
しっかりしてんなぁ。」
「ご両親は、プロヒーローとして海外で活動をしてらっしゃるのですね。
ご兄弟はいらっしゃいますの?」
『えーっとね...
実は、お兄ちゃんがいるの。5つ年上の。』
「ええ〜初耳!お兄ちゃんは何しとんの?やっぱりヒーロー?」
『いや、ヒーローではないんだけど...
今は、研究員として、海外の大学や研究機関を飛び回ってるみたい。
雄英への進学が決まった時期に会ったのが最後だから、もう半年くらい話してないなぁ。』
「毛色はちょっと違うけど、またまた派手なプロフィールだね〜!
橘家のことだし、個性も強そう」
『個性は...うん、私よりも全然強いね。
小さい頃から1回も喧嘩で勝てたことないし。』
「げっ、どんな個性だよ....」
『といっても、言葉で言うと凄さがあんまり伝わらないんだけど...』
と、前置きをして、
お兄ちゃんのことを紹介しようとしたまさにその瞬間
──携帯のディスプレイに、当の本人の名前が表示された。
『...噂をすれば、にも程があるっつーの...』
「どしたの?」
『ちょうどお兄ちゃんからメッセージきた』
「ええっ、タイミングすごすぎない!?こわっ!」
「お兄ちゃん、何て?」
『ちょっと確認するね。えーっと...』
画面に表示されたメッセージを見て、私は一瞬頭が真っ白になった。
力が抜けた手から、携帯がすり落ちる。