第5章 悲劇
その日はいつも通りだった。
いつも通りかーくんの相手をして、いつも通りいーくんのノートをまとめられたかを聞いて、いつも通り帰った。
けれど、ここからが違った。私が扉を開けようと鍵を差し込もうとしたら、扉が開いていることに気づいた。
いくら鼎がドジだからって、扉を開けたままにするのは、おかしかった。私は、恐る恐る扉を開けた。
『鼎~?』
部屋は、静まり返っていた。そのまま奥に進むと鼎が倒れていた。
辺りは血塗れで、ヒュー、ヒューと、か細い声をしていた。私は急いで鼎を抱き起こした。
『鼎!?鼎!どうしたの?何があったの?それよりも私の個性で今すぐ治してあげるから!』
そう言って、鼎を治そうとしたら私の手に鼎の手が乗せられた。
鼎「だ………い、じょう……………ぶ……だ、から。わた……しの、話を、聞………いて…………」
『何?ちゃんと、聞くから!だから………死なないでよ……』
鼎は、私の頭を撫でながら
鼎「私は……あな………たの、ことが、だい……すきよ。
はぁ………だか…ら、じ……ぶんを、殺さ……ないで
た、とえ……どん…なに…辛、くて……も、
あなたを…………あい、して……くれ……る、人が、
かな……らず、あら……わ……れる……から……」
『イ…ヤだよ……。ぐずっ……死なないでよ、“鼎姉(かなえねぇ)”』
そう言うと、鼎は嬉しそうに微笑み
鼎「あい…………して……るわ、………………………葵」
そして、息を引き取った。
『……………鼎?鼎!
うわあああああああああああああああ』
そのまま私は気を失ってしまった。