第3章 君の隣
腕の辺りの着物を引かれる感覚に思わず蛍の方を向くと。
──寝ぼけているのだろうか。抱きしめられた。
「…そ、じろ…」
「…」
「…すき…」
へにゃ、とだらしなく微笑む様に弱ったように笑みをこぼす。
なんで、また、この状況で。彼女の行動はいつも本当に突拍子もなく、理性も過程も二の次で。そう思うのだけれども、だからか。
「…僕も。愛してます。」
これからも僕を繋ぎ止めていて。困るなんて、ないから。隣でずっと…そんなことを胸に秘めながら宗次郎は眠りに落ちた。
君の隣
(ずっと求めていたのかもしれない。)