第2章 愛の言葉
にこっ、と優しく微笑む彼は少し妖しげで。目の当たりにしていると本当にどうにかなってしまいそうで。なおかつ、いつの間にか背中に回されていた腕によって彼の身体に包まれてしまい。
蛍はなおも柔く抗議の言葉を放ったのだけれども──
「おだまり。」
「ん、むっ、」
ぐ、と近付いた彼の眼差し。少し首を傾けた彼の顔。かぷ、と覆うように唇を喰まれた。
「…んんっ…」
「ほら、唇開いて?」
「…!」
「蛍。」
すり、と優しく後頭部を撫でる指つき。
「……物欲しそうな顔してますけど。」
「!」
「それとも、言葉だけで事足りちゃいました?そうは見えないですけど。」
目を細めて蛍に笑いかけていたけれど、目線の奥に焼け付くような情慾の色を感じ取ってしまって、思わず蛍は唇を真一文字に結んだ。
「これは、僕の思い違いですか?」
「…そっ…その…」
「ね、最後まで愛させてくださいよ。蛍。」
悪戯そうに微笑むと再度、蛍に唇を重ね付けた。
──やがて我慢を解き放つように宗次郎を受け入れ開いた唇。宗次郎は愛おしげに彼女の身体を手繰り寄せ、口吻を深いものへと移した。
愛の言葉
(可愛いおねだりをいただいて、我慢ができますか。)