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いつだってあなたのことが

第10章 星月夜の罪穢


抉るだなんて、そんなつまらないことするはずがない。でもやっぱり怖かったのかなぁ。
そんなことを思いながら、再び顎を掴みこちらを見上げさせた。


「…!?」

「あなたは僕のものになるんです。だって僕に負けたんだから。」


そうして唇を重ねた。重ねづけると共に鼻先が触れあう。


「…っ!」


顔を反らそうとするものの、もう片方の腕で頭を掴んで押さえつけて抵抗を奪う。

大人しくなったのをいいことに貪りながら様子を伺うと、微かに開いている目元では睫毛が細かく震えていた。


ゆっくりと離すと、突然のことに自我を見失ったような目。囁くようにしながら唇を嘗め上げた。


「……!」

「…良くなかったですか?」


睨み付ける目。


「…最低…!」

「そうですよね、敵に辱しめを受けるなんて。」

「…この…っ!」


蛍さんは唯一自由の効く左腕で殴りかかるものの、容易く片手で受け止められてしまう。


「くっ…」

「やだなあ、怒らないでくださいよ。」

「……っ」

「弱いあなたが悪いんでしょう?手も出せなくなったあなたに落ち度があるんですよ。」

「…あなたって人は…!」


力が入ったようだけど、微動だに出来ない拳。悔しげに唇を結ぶ様を見て笑いかける。


やがて…

次第に諦めたのか拳の力を抜くのを感じた、その時。


「!んんっ…!」

「ダメですよ。逃げるなんて。」


見開かれる眼。

…舌を噛もうとする気配がしたから、即座に咥内に指を突っ込んだ。

代わりに僕の指の肉が裂かれ、瞬く間に痛みと血の感触。…まあいいや、仕方ない。


「んんぅ…っ!」

「死なせはしませんよ。



あなたは僕のものです。」



そう、この世は弱肉強食。あなたの行く末は僕が。それが真理。


「…大丈夫、不自由はさせませんよ?」

「…っ…」

「だって僕、あなたに一目惚れしたんですから。」


…ああ、素敵だなあ。涙を浮かばせるその顔も。

刀を奪って、抵抗をもぎ取って、穢していったらどうなるんだろう。
きっとまた素敵な顔を見せてくれますよね。

「これから沢山愛しますよ、蛍さん…」






星月夜の罪穢


(星々が瞬く間にまたひとつふたつと穢して)
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