第3章 カップケーキはいかが?|ファラス
ファラスに会いに行くと珍しい格好だった
無地のエプロンをしていたところを見るに
何かを作っていたっぽいけど...
…何を作ってたんだろう?
「ファラス、何かしてたの~?」
「3時になるまでのお楽しみだ。」
そう言い、ふっと笑う彼に心臓がドキドキと
早く鼓動を打つ
いつになっても慣れない、彼の笑顔は素敵すぎる
くっつきながら、昨日はこんな事があった、とか
花を育て始めたとか...彼の絶妙な相槌のお陰で
ついつい色んな事を話していると
いつの間にか時計の短針が3を指していた。
「お、もうこんな時間か。
少しそこで待っていてくれ、○○。」
「うん、分かったー。」
キッチンの方へと足を運ぶファラス
内心ドキドキで何を運ばれるんだろうと
楽しみでしょうがない
… …ガチャ
ファラスが美味しそうな甘い香りを
纏いながら戻って来た
「ほら、カップケーキを見様見真似で
作ってみたんだが…。」
ほんのり頬を染めながら、
渡してくれたカップケーキは
ごくシンプルな見た目のものだった
そんな所がファラスらしい
ちょっと形にばらつきがあって
慣れないお菓子作りを
一生懸命頑張ってくれたんだなぁと
笑みがこぼれる
さあ、食べてくれと促され、ひと口
「んん~~!美味しい!
トッピングの塩がアクセントになってて、
いっぱい食べちゃいそう…!」
頬張りながら
次の1個に手を伸ばそうとすると
「そんなに急がずとも、
カップケーキは逃げはしないさ。」
笑いながら、カップケーキを渡してくれる
優しいなあ…なんて思っていると、
ぐいっ… …ちゅっ
「っ?!」
「○○の頬にカップケーキがついていたぞ。
…うむ、なかなかいい感じだな。」
なんて自分の作ったお菓子を褒めている
ファラスの唇で取られたんだと
理解すると恥ずかしさが
体の奥からじわじわと増し、真っ赤になる
「お、林檎のように赤く色づいて愛らしいな。」
止めの一撃を食らわされた
この人は天然なのか…破壊力が凄い…
もぐもぐもぐ…
恥ずかしくて真っ赤になりながらも、
ちゃっかり全部カップケーキを
完食すると、
「今度は自分が頂く番だな。」
そう言って、お姫様抱っこで
寝室へと連れていかれた
-END