3年滅組、それは問題児の集まるクラスでした。/ 鬼滅の刃
第5章 喧嘩上等
色々と思うことはある。
宇髄くんは人気がある。それは男女問わず全般に。きっと好意を抱いてる子だっているだろう。
最近の彼は毎日学校に来て授業に出席してくれる。当然、教師としてそれは喜ばしいものだけど、そんな彼の変化を面白くないと思う生徒もいたかもしれない。
…………ううん。違う。
宇髄くんを面白くないと思ったんじゃない。そんな彼の担任になった私を面白くないと思ったのかもしれない。よく絡まれるその光景が目に余ったのかもしれない。少なくとも昨日図書室で目が合った彼女の顔は、そんな不満の色が見えたような気がした。
「───あ、やばい撃たれた。早く助けて」
「は?お前今どこに……って安置外じゃねーか!なんでんな遠いとこにいんだよ芋ってんなや!時間ねーし助んわ死ね!!」
すぐ目の前で携帯ゲームをしながら暇をもて余す見張りの不良達を一瞥して、は倉庫の入口に目を向ける。
この倉庫には入口の横に2階へと続くアルミ階段がある。もう数人以上、倉庫にやって来ては階段を上がっていくのを見た。正確な人数はわからないけど、きっと上にはまだまだ仲間がいるはず。
「───お前ら外の見張りに回れ」
その時、階段からカン……カン……と靴音を鳴らしながら黒髪の青少年が降りて来た。両手をポケットに入れたまま、ゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。
「あ、総長お疲れ様っす!」
「了解です!」
携帯をそそくさと仕舞って見張りの全員が倉庫を出て行く。
近付いてくる足音。やがての目の前で来ると、目線を合わせるように膝を折って腰を落としてきた。
「どうも。可愛いねー、ほんとに先生?」
これが、銅鑼の総長………
髪の毛と同じ漆黒の瞳。目鼻の整った顔立ち。顔だけで言えば二枚目だ。だけど、弧を描く唇とは対照的に、彼の眼は全く笑っていなかった。
「……っ……」
無言で睨み付けているの顔に男の手がスッと伸びてくる。