3年滅組、それは問題児の集まるクラスでした。/ 鬼滅の刃
第5章 喧嘩上等
「えええ!先生が休みっ!?」
3年滅組の教室。この日出席を取りに現れたのはではなく別の先生だった。開口一番に「今日は休みだからなー」と聞かされて甘露寺は思わず席から立ち上がり叫んだのだ。みんなの視線が一斉に彼女に集まる。甘露寺は「す、すみません……」と恥ずかしそうに両手で顔を覆いながらお尻を椅子に着けた。
「あの~……休みの理由を伺っても?」
ゆっくりと頭の高さまで手をあげたのは蝴蝶。が欠勤した理由が気になるのだろう。無論それは他の生徒も同じだったようで、今度は先生に視線が集中する。
「ああ、は熱があるらしい。さっき本人から学校に電話があってな。申し訳ないが今日は休ませてくれって」
「そうですか………」
それなら休まざるを得ない。明確な理由を聞かされて、蝴蝶の手は静かに落ちてゆく。残念ではあるものの、どうやら納得したようだ。
「ま、そういう事だから滅組は今日1日自習だ。問題起こさず大人しくしとけよー」
教室に全員来ていることを目で確認した先生は、それだけ告げると行ってしまった。
担任はいない。1日自習。それはつまり自由を意味する。普通なら歓喜の声があがる瞬間だ。だが、滅組の空気は決して明るいものではなかった。
「………うむ、熱か。大丈夫だろうか?」
「………どうかな。毎日僕達の授業に付きっきりだから休む暇なんてなさそうだし。無理が祟ったんじゃない?」
「ああ、常日頃我らに尽力してくれているというのに何も出来ぬとは……歯痒い限りだ……」
「そ、それなら先生のお見舞いに行くっていうのはどうかなっ……!」
「………甘露寺、このご時世教師の個人情報は学校も教えてくれない」
「え、そうなのっ!?」
みんなが心配の言葉を口にする中、伊黒が正論を突いてやると甘露寺はそれはそれは驚いた表情を露にしてショックを受けていた。