3年滅組、それは問題児の集まるクラスでした。/ 鬼滅の刃
第3章 昼休憩
………しかし困った。今日は鬼舞辻先生が教員研修で学校にいない。鬼組の生徒なら彼の一声で間違いなく喧嘩をやめてくれるのだろうが、担任でない自分の制止では少々心許なくもある。大丈夫かなぁ。
そんな不安を抱えながら階段を上りきると、廊下の真ん中に人だかりが出来ていた。あそこだ。
「!先生こっちだ!」
あれは煉獄くんだ。人混みの中から手を上げて呼んでくれている。きっと騒ぎを聞いて駆け付けてくれたのだろう。
「ごめんね!ちょっと通して!」
たくさんいる生徒を掻き分けながら最前列にいる煉獄くんの元まで抜けると、目の前でバチバチと火花を散らし合う滅組と鬼組の生徒がいた。
「………痛えなあ、痛えなあ、これ骨折れてんじゃねぇかなぁあ。どうしてくれんだぁあ?」
「ああん?地味なこと言ってんな。喧嘩売るならもうちっと派手に売れよ」
「………やめておけ。不毛な争いは時間と体力の無駄だ」
「いいから選べェ。大人しく黙って道を譲るか俺に殺されるかァ」
………まったく。これだから血の気の多い男子は困る。
滅組と喧嘩をしている鬼組の生徒、それは謝花さんの兄の妓夫太郎くんと継国くんだった。妓夫太郎くんはもっぱら不良だと有名だが、継国くんは鬼組の学級委員長を務める寡黙な生徒だ。鬼舞辻先生から特に評価の高い彼のことだから、あまり不毛な争いを好むようにも見えないけど………
いや、今それを考えても仕方ない。まずはこの場を教師らしく収めないと。
「はいはい喧嘩はもうおしまい!」
は両手をパンパンと鳴らしながら彼らの間に入っていく。
「宇髄くんも不死川くんも。それから妓夫太郎くんも継国くんも。……いい?わかった?」
自分より背丈がある生徒をひとりひとり見上げて視線を交わしてゆくを見て、妓夫太郎はボリボリと頬を掻きながら漏らす。
「いいなああ、いいなああ、先生今日も可愛いなぁあ」
「見んな喋んな同じ空気吸うなボケがァ」
「うむ、空気は無理があると思うぞ不死川!」
ああ、だめだ。全然聞いてないや。