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【リヴァイ】彼と彼女の最終回【進撃の巨人】

第12章 ◇11話◇逃げられない


走って、走って、走ってー。
息が切れるまで走っても、深い森から抜けられそうになくて、私は絶望しそうになっていた。
荷馬車に乗って古城へ向かったていたときは、そんなに長い森には思わなかったはずだった。
脚が震えて、うまく走れない。
それでも、一度でも立ち止まってしまったら巨人の大きな手に捕まえられるんじゃないかという恐怖心が、私を休ませてくれない。
どれくらい走ったのかは分からないけれど、生い茂る木々の向こうの空は真っ赤を通り越して紫色に変わっていた。
もうじき夜になる。
こんな森の中で夜を過ごすなんてー。
怖いけれど、怖いけれどー。
巨人のいる古城に戻るよりはマシだ。

「…っ!?」

すぐそばの木が揺れたと気づいた時には、目の前に3人の男が立っていた。
兵団服は着ていないから、リヴァイ達の仲間ではないのかもしれない。
でも、1人は銃を持っていて、私に友好的だとは思えなかった。
むしろ、ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべて、少しずつ近づいてくる彼らからは、嫌な予感しかしない。
どうしてこんなときにー。
恐怖で震える身体で、必死に後退るが、ほんの少しずつしか動けていないのは自分でも分かるくらいだった。

「調査兵団の兵士長の女が天使になって戻って来たと聞いて来てみたら、
 そっちから会いにきてくれるなんてなぁ。ラッキーだぜ。」

銃を持った男が嫌な笑みを浮かべながら近づいてくる。
逃げろー。
頭が警告を鳴らすのに、震える身体で漸く一歩後ろにさがれたときには、腕を掴まれていた。
そのまま腕を引かれて、背中から拘束するように抱きしめられる。
男の手がシャツの裾から強引に入ってきて、腹を撫でられると、恐怖で身体が固まり抵抗することも出来なくなった。

「へぇ。記憶がねぇってのは本当みてぇだな。
 今までのあんただったら、俺らなんて簡単にやっつけられたのになぁ?」
「…っ、いや…っ。」
「身体も兵士だった頃を忘れちまってるみてぇだな。筋肉もなくなっちまったのか。
 柔らけぇ身体になってくれたおかげで、もっと高く売れそうだ。」
「…っ、やめて…っ、はなし、て…っ。」
「天使なんて高く売れるに決まってる代物、
 俺達が放っておくわけねぇだろう?」

震える声で必死に抵抗の意志を伝えたところで、動かない身体は男の言いなりだった。
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