第9章 ◇8話◇巨人
ハンジに手を引かれながら私がやって来たからだと思う。
漸く立ち止まった頃には、まわりの声はコソコソを通り越してザワザワになっていた。
でも、必死に止めようとしていたモブリットの反対する声は聞こえていない。
これが何かのきっかけになるかもしれないのだからとハンジに説得され続け、納得したのか諦めたのか。
目隠しされている私の足元を気にして、大丈夫かと声はかけてくれるから、隣にはいるようだった。
「さぁ、外すよ。ちょっと驚くかもしれないけど、私達がついてるし、
危険ではないから安心してね。」
ハンジの声がとても軽やかだったせいで、不穏な言葉を耳が聞き流していた。
私はただ、これでやっとこの状況を理解出来るかもしれないという期待でいっぱいだった。
ハンジに目隠しを外されて、ゆっくりと視界に光が差していくー。
そして、私の目の前に現れたのは、この世のものとは思えない恐ろしい生き物。
2体の巨人だったー。
「----っ!?」
声にならない悲鳴が私の喉から上がった。
何が起きているのかーと思う余裕もないくらいの恐怖が私を襲う。
驚きと恐怖で、息を吐くことが出来なくなって、ただただ息を吸い続ける。
大きな4つの目が私を見ている。
怖い、苦しい。
恐怖のせいなのか、息を吸い過ぎたせいなのか、私は数秒で意識を手放した。