第8章 ◇7話◇調査兵団兵舎
彼女の洋服を数着詰め込んだバッグを抱えたリヴァイの後ろを、私は目を伏せて歩いていた。
彼らに連れられて、戻ってきたくなかった調査兵団兵舎にやって来ている。
あのアパートメントの部屋は私の部屋ではないし、彼らも私を目の届くところに寝泊まりさせたいらしい。
リコは任務というのがあるということで、別行動になってしまった。
隣を歩くモブリットが、時々、体調が悪いのかと聞いてくるくらいに私は青い顔をしているのだと思う。
これからどうなってしまうのだろうー。
不安と恐怖が私の心のほとんどを占めていた。
けれど、まだ、彼らが誘拐犯で、私はどこかに連れ去られているのだという考えもなくなっているわけではない。
だって、そうじゃないのなら、今のこの状況をどう説明すればいいのか、私には分からなかった。
彼らと同じ制服を着た男女が通り過ぎる度に、リヴァイとハンジの後ろをどんよりとした空気を纏って歩く私を、訝し気な顔で見ていく。