so ist es immer【Levi dream】
第3章 a beautiful nudity
見慣れた食堂を見渡したリヴァイ。いつもと何ら変わりのない光景なのに胸の中に温かな灯りが灯ったような気がした、胸が和やかでどことなく穏やかなのだ。こんな穏やかな気持ちになったのはいつぶりだろうか、と思い出すがそれは無意味に終わる。思い出さないのだ。目を細めたリヴァイの前には細々とした映像達が動き回る。
ああ、
そうか。
そうだった。
ファーランとイザベルがまだこの世にいた時はまだ心も安らかだったかもしれない。ファーランとイザベルが死んだあの日からリヴァイの中での時間は止まっており、時は無情にも過ぎ去るだけであった。だが、今はどうだろうか、ジゼルの姿を思い出してしまえばやんわりと心の隙間に入ってくる金色の彼女。自分の領域に踏み入られることを嫌うリヴァイだが、何故かジゼルだけは追い返そうとは思わなくて。
目を閉じてジゼルの存在を快く受け入れた。
「……クソっ。」
自分が自分ではないそんな感覚に戸惑いつつも刈り上げた黒髪をかきあげたリヴァイはおもむろに席を立つ。あいつはもう寝ただろうか、と頭を掠めたがすぐに首を小さく横に振って否定した。仕事好きなあいつの事だ、また倉庫にでもひきこもっているのだろう。そう思ってしまえばあとは簡単だった。俺には関係ない、と食堂を出たリヴァイだったがそんな気持ちとは裏腹にリヴァイの足は階段を上っていたのだから。
滑稽だと、そんな自分を嘲笑った。
そして見えてきたオレンジ色の薄い光に目を細めそして視線をおろして息を吐く。矢張り自分の予想通りだ、と今夜も月明かりに照らされた美しい金色を見詰めた。ちらりと見えた横顔は真剣そのもので集中しているのかリヴァイが近づいても気付かなかった。だが新型立体機動装置を手馴れたように弄るジゼルはどこか生き生きしているように見えた。伏し目がちの目から零れる透き通る金色と長い睫毛が頬に影を作り、どこかの画家にでも雇ってこいつの絵を描かせ売り払ってしまえば言い値がつくんじゃないか、とゴロツキ時代の自分が顔を出した。がそんな考えはリヴァイの鼻で笑った声と同時に消え去る。
「仕事好きもここまで来れば重症だな。お前は隠れ奇行種かなんかなのか?」
その声に顔を上げたジゼルは勢いよく振り返る。そしてリヴァイを見て安心したように肩を落とした。嬉しそうににっこりと微笑んだジゼルにリヴァイは顔を小さく歪めた。