so ist es immer【Levi dream】
第3章 a beautiful nudity
「想像もしたくねえな、おかげで陰気臭かったガキ共が浮かれてやがる。花畑みたいにな。」
「ジゼルが此処に来てから明らかに調査兵団が変わった気がするな。ジゼルの存在がそうさせているなら実に喜ばしい事だろう。」
「ほう、お前もあのガキに洗脳されたひとりか?エルヴィン。」
「……お前を見てると不器用とは途轍もなく苦労する事が手に取るようにわかる。素直に言ったらどうだ、ジゼルがそこらへんの男達に愛想を振り撒くのが気に食わない、と。」
エルヴィンの言葉にリヴァイは三白眼を見開かせる。……ジゼルが他の連中に愛想を振りまくのを好まない理由がどこにあるというのだ。
「愛想を振りまくのも振りまかねえのも全部あいつが決めた事だ。俺がどうこういう筋合いなんざねえだろ。」
「……はあ。そうか、お前はそれでいいんだな、リヴァイ。」
「何を言ってるのかさっぱりわからねえな、お前のその回りくどい喋り方もどうにかしてくれ。頭が痛くなる。」
ふ、と逸らされたその視線。まだ気づいていないのか、本人とジゼル以外はリヴァイがジゼルに対する気持ちなどとっくに見破っているというのに。だがこれを言うのは自分からではない、リヴァイが自分で気づき初めて気づくこと。
「兵士長としてはなんの文句もない、がお前は不器用の限度を超えている、と言いたい。」
「馬鹿言え。俺は何にでも直球だ。」
「私が言っているのはその事ではない。」
意味がわからないとでも言うようにしてリヴァイが小さく息を吐く。エルヴィンの言う事はすべて回りくどい。元々奴はこういう性格だがここまで回りくどいとまるで詐欺にでもあってしまったかのような錯覚に陥りそうになる。エルヴィンはハンジと食事を抱えたままリヴァイを一瞥しリヴァイから背中を向けた。
ただひとり、食堂に取り残されたリヴァイは腕を組み近くにあった椅子にどかり、と座る。そして宙を見上げた。形の無い感情がゆらゆらとリヴァイの心を彷徨う。名もつけられないその感情達に舌を打つが今も尚その感情は揺らめいていた。瞼を閉じれば瞼裏に映る金髪の儚くて華麗な彼女はこちらに気づき大きくて汚れひとつない金色の双眸をこちらに向けると、にっこりと嬉しそうに笑い白い頬を桃色に染めあげた。背中を伝って腰下まで流れる柔らかそうな金髪はキラキラと輝いていて。
静かに目を開ければ見慣れた食堂に頭を抱えた。