so ist es immer【Levi dream】
第3章 a beautiful nudity
そしてジゼルが席につくと同時にリヴァイも席につく。腰を下ろせばふう、と自然に出る溜め息。そして視界の端を支配したある一点のものが目に入りリヴァイは珍しく目を見開けた。ジゼルはそんなリヴァイには気付かず行儀良く手を合わせ口をモグモグと動かす。だが、今のリヴァイは口を引き攣らせながら拳を震わせた。それはまるで怒りを表現している様で。
ジゼルが可愛いからって襲っちゃダメだよん、ハンジより。とご丁寧に書かれたその紙切れをジゼルに見られないように掴み容赦なく破り捨てるリヴァイにジゼルはようやく気づき目を丸くさせた。変に気を利かした理由が分かったリヴァイはハンジを思いっきり蹴り倒している映像を安易に思い浮かべ、明日朝イチに彼奴をそいでやる、と心に決めたリヴァイにジゼルは首を傾げる。
「リヴァイ兵士長?」
「何でもない、気にするな。」
リヴァイの鬼のような形相にあたしはまた何かをしてしまっただろうか、と不安に賭けられたジゼルにリヴァイは小さく首を横に振る。だが眉間に深く刻まれた皺は消えることを知らないかのようで。リヴァイに気にするなと言われてしまったが気になってしまうジゼルはゆっくりと瞬きを繰り返してリヴァイを見詰める。リヴァイはそんな視線を無視し目の前の食事に手を付ける。口を固く閉ざしてしまったリヴァイに肩を落としながらもジゼルは小さな口でパンを齧り、もぐもぐと無言で口を動かした。
また、彼は不機嫌だ。と眉を八の字にさせたジゼルはなるべく早くに夕食を飲み込み席を立つ。
「では、あたしはこれで失礼します。リヴァイ兵士長、遅くまでありがとうございました。」
よく見ればリヴァイも夕食を食べ終わったらしい。ジゼルがぺこり、と頭を下げるのを確認したリヴァイは何も言わずに空になった皿をゆっくり見下ろす。ジゼルが席を立ちトレイを持ち上げる。
「俺の馬は俺に似て神経質だ。明日は上手くやれ。怒らせるなよ。」
鼓膜を刺激した低くて、だけど透き通る声に足を止める。明日リヴァイ達が臨時会議に行っているあいだ自分はエルヴィン、ハンジ、リヴァイの愛馬の世話を頼まれた事の話だろうと理解したジゼルはくるりと振り返り大きく頷く。リヴァイの愛馬は初めて地上に上がった時に1度だけ見た事があったジゼルは頭の中でリヴァイの愛馬、黒くて艶やかな黒毛を思い出した。
「はい!」