so ist es immer【Levi dream】
第3章 a beautiful nudity
餌付けでもしたら懐かれそうだ、と冗談含めてそういえばジゼルは頬を膨らませる。だが純粋にこちらへと迷わず駆け寄って来るその愛らしい姿に悪い気はしなかった。こんな穏やかな気持ちになったのは果たしていつぶりだろうか、長い年月この組織で部下の死を見てきたリヴァイにとってジゼルはまるで一筋の光だった。
この組織でここまで穏やかな気持ちになるなど考えたこともなかったし夢にも思わなかった。
だが、だからといって。
ジゼルに出会わなかった方が良かったなどとも思わない。
ジゼルが人類の希望として謳われているのなら、リヴァイにとってジゼルは果てしない地獄の中、一筋にリヴァイを照らす安らぎの光だろうか。
「リヴァイ兵士長、あたしは餌付けされても懐きません。っというか犬じゃありません!」
「そんな事分かってる。お前は従順な犬にはなれねえな。強いて言うならお前は言う事聞かない馬鹿真面目なガキ、か。」
「なっ…!リヴァイ兵士長からすればあたしなんてまだまだガキかもしれないですけど…。前々から思ってたんですけど流石にガキは酷いです。」
今度は違う意味で顔を膨らませたジゼルにリヴァイはふ、と笑う。互いに時間を気にせずここまで他愛もない話をしたのは初めてだった為とても足取りが軽く、居心地の良さを感じたリヴァイは窓からこぼれる月明かりに目を細めた。静粛な夜空に輝く月はまるでジゼルの様で。満遍なくリヴァイ達を照らす月からジゼルに視線を向ければジゼルは嬉しそうに微笑んだ。まるで聖母のようだ、とリヴァイは思いながらもジゼルのその綺麗な笑みを見詰める。
「百面相だな。」
「ふふ、リヴァイ兵士長と話しているととても楽しくて。」
「それは良かった。どうやら俺はガキのお守りが得意らしい。」
「それは、…酷いです。」
そして到着した食堂では当たり前だが誰もいず。シーン、と静まり返った食堂の中テーブルに二つのトレイが置いてあるのを見つけたジゼルはすぐ様そちらに駆け寄っていく。大方、ハンジが変に気を聞かして置いたのだろう。自分の食べかけの食事と全く手のつけられていないジゼルの食事に変な気を使いやがる、とリヴァイは小さく舌打ちを零したのだった。