so ist es immer【Levi dream】
第3章 a beautiful nudity
昔、訓練をサボっていた兵士にリヴァイが直々訓練してやり、その兵士は2日間筋肉痛でまともに歩けなかったと言う話を聞いたことがあった兵士達は唾を飲み込み必死に首を振る。その顔には大量の汗が滲み出ていた。
「立体機動装置の点検ならそこにいるガキだけじゃなく技術部もやれる。一気にこいつに仕事を押し付けるな、あそこで暇してる技術部の所へ行け。」
と顎でリヴァイが指した方向にはこの状況に頭を抱えていた技術部達がいて。ジゼルは少しだけ安堵の息を零しジャンの立体機動装置を手に取る。他の兵士達は顔を青ざめさせたまま一気にジゼルから技術部の元へと走り去りその場は一瞬にして静まり返った。
「やれやれ、リヴァイは容赦ないねえ。」
リヴァイに踏みつけられた頭を擦りながら腰を上げたハンジはぷっ、ととうとう堪えきれなかった笑いが出る。肩を震わせリヴァイに見つからないように顔を背けて笑いを堪えるハンジにリヴァイはちっ、と舌打ちを零した。隠してるつもりだろうが、バレバレだと言うようにしてハンジの背中を睨んでいれば視界の端で金色がきらり、と動く。
「リヴァイ兵士長、ありがとうございました。あれだけの数の点検をするとなればとても時間が掛かるのでとても助かりました。」
「お前は自分に近付いてきた人間を追い返す事も出来ないのか?」
片眉を釣りあげたリヴァイにジゼルが目を伏せる。ジゼルの長い睫毛が色白の頬に影を作った。ああ、今日も彼は不機嫌だ、と肩を落としたジゼルにハンジは頭を抱えた。
「…いえ。ただ人に囲まれるというのに慣れていなくて。あれだけ多くの視線を感じたのは初めて此処にも来た以来でしたので。」
するとがちゃ、と金属音を響かせながらジャンがジゼルに預けた立体機動装置を抱き締めるような形で持ったジゼルにリヴァイは目を細めはあ、と息を吐く。
「…さっさとそいつのアンカーを直してやれ。」
そう言ってジャンの立体機動装置を指さしたリヴァイはジゼルの頭に手を置くとくしゃり、と撫でる。エルヴィンとは違い少し小さい手だが骨ばったその男らしい手に目を伏せながらリヴァイの手を堪能していたジゼルははい!と大きく返事をして倉庫の中へと入っていった。
紅茶を淹れてもらおうと思ったがそれはまた次の機会にしよう、とジゼルの小さな背中を見てそう思ったリヴァイは倉庫から背を向けた。