so ist es immer【Levi dream】
第1章 in the light of the earth
そんなエレンを見兼ねたミカサがいつもと変わらない至ってシンプルな、否、至って質素な小麦のパンを見詰めながら小さく口を開く。
「エレン、死んだと決めつけるのはあまり良くない。……ハンジ分隊長、もしあの時の女の子がジゼルで新型立体機動装置の設計図を持っているとすれば確かに試してみる価値はあると思います」
「生きてる可能性は低いですが僕もミカサが言うように試してみる価値はあると思います…」
そう言い放ったミカサとアルミンの強い眼差しにハンジは飛び跳ねてしまいそうな錯覚を抑えつつも大きく頷いた。そして心の隅でふと思う。エルヴィンやリヴァイよりも面白い兵士だ、と。自分の話に耳を傾けてくれる後輩兵士に緩む頬が抑えられないハンジはアルミンと同様、その頭脳でどうやってあの堅物頭のエルヴィンを説得させようか、と考えていた。
「ジゼルという女の子についてなにか手掛かりがあればいいんだけどなあ、エレン、ミカサ、アルミン、なにか他に思い出さないかい?」
そう言うハンジに3人は目を瞑り深い記憶を呼び覚まそうとした、がそれは矢張り幼い頃の、遠い遠い記憶で、簡単には思い出さす事を許してはくれなくて。白い霧が覆い尽くしている様な不思議な感覚に襲われた、が。
「っ!地下……室」
その刹那、エレンが顔を上げた。
「……エレンの家の?」
「っ違えよ、アルミン。昔、父さんが言ってたろ。アシュリー博士はシガンシナ区に地下室を所有してるって!」
「……っそれは本当かい?エレン!」
エレンの声にミカサは思い出したかのようにして顔を上げ、ハンジを見て小さく頷いた。切れ目の瞳からは絶対的な自信が滲み出ていて、それを見たハンジは興奮気味に眉を八の字にさせ目を一瞬で据わらせながらふふふふふふふ、と不気味に笑う。
それでも、尚も現実味を感じない。それは、
「でも…、もし地下室に行ったとしてももうシガンシナ区は人が住めるようなところじゃありません。巨人も彷徨いているしもしその地下室で生き延びたとしても食材調達なんてとてもじゃないけど……、出来ないよ」
顎に手を当てたアルミンにミカサとエレンは再び俯く。エレンはあの時の残酷な出来事を思い出しているのか全身を震えさせ、憎悪という憎悪で黒い感情に包み込まれた様な錯覚に襲われる。脳味噌が沸騰してしまいそうな、頭が熱くなるような感覚に顔を歪めた。