so ist es immer【Levi dream】
第3章 a beautiful nudity
何故呼ばれたのかわからない、ジゼルは口を固く閉ざしながら気まずそうにして金色の大きな双眸を揺らす。この部屋に来て敬礼をしない彼女がおかしくてふ、と頬を緩ませたエルヴィン。否、か弱く純粋なジゼルに敬礼は似合わないと判断したエルヴィンはジゼルに他の兵士と同じように敬礼はしなくてもいい、と行ったのだが。
その姿が酷く愛らしくてエルヴィンは引き出しの奥深くにしまってある王都ミトラスに行った際に買ってきた洋菓子をテーブルの上に置いた。
「ジゼル、立ち話もなんだからこの洋菓子を食べながらそこに座りなさい。」
「あ、はい。」
そういったエルヴィンにジゼルは頷きながらエルヴィンの向かい側にある椅子にちょこん、と腰掛けた。リヴァイはいつも座っているソファーに深く身を預け宙を見上げる。かりあげた黒髪から除く鋭い三白眼がゆらゆら、と揺れた。
「王都で調達してきた洋菓子だ。バームクーヘンというものだが、ジゼルは食べた事あるか?」
「昔、本当に幼い頃に一度だけ食べた記憶があります。」
「そうか。此処の洋菓子はとても美味しい。ジゼルの口に合うといいのだが。」
と言って差し出したエルヴィンにジゼルは頂きます、と言いつつも緊張しているのかそのバームクーヘンを口に運ばずちらり、とエルヴィンを見上げる。金色の瞳が不安一色で揺らめいているジゼルになんだか子犬を相手にしているようだ、とエルヴィンはどこかふと思う。
「そんなに緊張しなくていい。ジゼルには話があってね。だけどそんな堅苦しい話じゃないから楽にして聞いてほしい。」
「……はい。」
「明日私達は王都に出向く事になった。私とリヴァイ、ハンジとハンジの副官モブリットが此処を不在にする。その間ジゼルには私達の馬の世話を任せたい。」
予想外なその発言にジゼルは目を丸くさせたと同時に胸を撫で下ろす。ほ、と小さく微笑んだジゼルにエルヴィンは目を細め黙って話を聞いていたリヴァイがエルヴィンからジゼルに視線を移す。
「馬の世話なんざお断りだと言ってやれ。」
「いえ、そんなこと…。」
「なんだ。お前は馬の世話がしたいのか?馬がそんなに珍しいか?」
「いえ。ただ、こうやってエルヴィン団長から直々に自分の愛馬を任せられるとは思ってもみなかったので驚いてしまって…。エルヴィン団長、リヴァイ兵士長。あたしで良ければそのお仕事やらせて下さい。」