so ist es immer【Levi dream】
第3章 a beautiful nudity
確かにハンジは手のかかる。だがその出来心から作られた媚薬は調査兵団の資金となっている。確かにハンジは人類の奇行種と呼ばれていて生来の変人と呼ばれているピクシスよりも変人だが天才に変わりはない。リヴァイもエルヴィンからスカウトされ無理矢理調査兵団に入団させられた時。ハンジに興味を持たれひたすら追いかけ回されたのを思い出し小さく身震いする。
「ジゼル。」
「はい。」
「明後日には予定されていた通りクロウド公爵家の晩餐会が開かれる。ピクシス司令は君のお披露目会だと言ったが、」
「……」
「君は自然体で居なさい。ハンジ、リヴァイ、我々はジゼルの護衛役だ。ジゼルに言い寄ってくる男が居れば容赦なく排除してくれ。」
エルヴィンはそう言うとジゼルの頭をちょこんと撫でる。ジゼルは大きな掌に心地良さげに目を細めて小さく微笑む。自分に言い寄ってくる貴族なんて居ないとジゼルは思うが向かい側に座っているリヴァイからなにやら不穏な空気が漂ってくる。尖ったその空気にエルヴィンがリヴァイをチラリ、と見る。
「リヴァイ、なんだ?」
「……何でもねえ。」
「そうか、ならこの話は終わりだ。ジゼル、後で私の部屋に来てくれるか?少し話がある。」
そう言い終えたエルヴィンは大きく頷いたジゼルに小さく笑い、最後に残っていたスープを飲み干し席を立つ。ハンジはといえばジゼルのドレス姿を想像していて鼻の下を伸ばして涎を垂らしていた。リヴァイがハンジを汚物でも見るかのような視線で見ると小麦のパンを頬張っているジゼルの腕を引きジゼルを立たせた。
「……リヴァイ兵士長?どうしたんですか?」
「こいつの食い方を見てると吐き気がする。お前はさっさと仕事に行け。開発部と技術部はもう既に作業に取り掛かっている。お前が行かねえとあいつらも落ち着いて作業も出来ねえだろ。」
「吐き気がするとは失礼な。それになんでそんなに嫌味ったらしく言うのかな。新型立体機動装置の構造を良く理解しているジゼルが早くに行ってあげないと彼等も困ってしまうと言えばいいのに。回りくどいんだよ言い方が。」
「うるせえ、クソ眼鏡。そんな戯言聞いてねえ。」
「はあ。貴方のその口の悪さには完敗だよ。」
手のひらを上に返し大袈裟に肩をあげたハンジにリヴァイは拳を作る。そんなこと、自分がよくわかっている、と呟けばハンジはふ、と肩の力を抜いた。