so ist es immer【Levi dream】
第2章 girl of hope for mankind
照れるようにして微笑んだジゼルにピクシスはほっほっと歌でも歌い出すんではないのかと言うほど機嫌良く笑った。晩餐会がどういうものなのかは知らないがジゼルはエルヴィンとリヴァイが護衛役についてくれるのだからこれ以上頼もしい事はない、と色白の頬にエクボを浮かばせて笑った。
「して、ピクシス司令。その晩餐会の日程は?」
「ふむ。急で悪いが三日後じゃ。すまぬのう。相手は公爵家で、儂の意見が通らんかったわい。」
「……三日後、ですか。分かりました。我々も三日後王都に向かいます。」
「頼むぞ、エルヴィン、リヴァイ。」
そういったピクシスは席を立つと会計を済まし颯爽と居酒屋を出ていった。そのなんとも無駄のない動きにリヴァイの三白眼が少し細められた。
「なんだあのジジイは。言い逃げか。」
「まあそう言うなリヴァイ。これもピクシス司令のジゼルに対する愛情だろう。」
「随分と都合のいい解釈だな。」
「にしても、ジゼル。君は私達が護衛で良かったのか?憲兵団なら何かあってもすぐに取り入って貰えると思うが…。」
心配そうにジゼルをみたエルヴィンは眉を八の字に下げる。確かに憲兵団なら王都との繋がりも深い為、すぐに取り合ってもらえる。エルヴィンの言いたいことを理解したリヴァイは氷の溶けた水を口に含みながらジゼルの言葉を待った。
「護衛役にあの調査兵団団長と人類最強の兵長ですよ?憲兵団よりも、とっても心強いです!」
首を振りながらにこり、と微笑んだジゼルにエルヴィンは肩の力を抜く。そうだ、彼女はこういう子だ、と理解したエルヴィンは目を伏せながら三日後の晩餐会について考えていた。もし、そこで資金援助の取引が出来たら、と思うエルヴィンは何処までも冷酷な自分の性に苦笑いを零す。リヴァイはそんなエルヴィンを横目に手元にあったスープを口に含み、料理をもぐもぐと堪能しているジゼルを眺めていた。
「ハンジさんが見繕ってくれたドレス、着れそうですね。」
純白に輝くドレスを思い浮かべたジゼルは微笑む。ジゼルは元々ドレスも宝石も興味はないがハンジが買ってくれたからだろう、そのドレスを着るのが楽しみで仕方がなかった。人の好意を大切にする純粋なこの金色の彼女に目を伏せ静かに口角を上げたリヴァイは嬉しそうに笑っているジゼルの声色を聞きながらジゼルの居る晩餐会も悪くはない、と柄にもなく思うのであった