so ist es immer【Levi dream】
第2章 girl of hope for mankind
税金の無駄金、みすみす巨人の餌になりに行く愚かな人間。そうやって罵声を当たり前のように受けてきた調査兵団にとってジゼルのその言葉は何よりも衝撃的でそして何よりも温かかった。
「……それがお主の答えか、ジゼル。」
「はい。ですが、ピクシスさん。貴方の言うクロウド公爵家の晩餐会には参加致します。」
その言葉にリヴァイは頭を金属の何かで殴られたような感覚に陥る。こいつは何を言っているんだ、とジゼルを見る。ジゼルは考えていた。調査兵団に残る決心は固くその決意は揺るがない、決して。だが世間を知らなさすぎるジゼルにとって晩餐会は世間を知るとても大事な一歩では、と思った。
「クロウド公爵家の晩餐会じゃ。きっと一筋縄では行かぬ。ジゼルの今までの経緯は既に有名な話じゃ。きっと心臓を抉られる様な事も言われるじゃろう。それでも参加したいか?」
「……はい。きっとそれがあたしの知らない世間、だと思いますから。綺麗な部分だけを見て生きるなんてそんな事、出来ません。きっとなにかに気付かされる第一歩だと思います。だから、参加させてください。」
そう言って頭を下げたジゼルにピクシスは何度も小さく頷き、真剣そのものだった瞳は徐々に柔らかくなっていく。ピクシスはそれを望んでいたのだった。ジゼルは自分の意思で調査兵団に残る。そんな事聞かなくてもわかっていた。ジゼルはピクシスの知らないところで調査兵団という組織によって強く、そして前向きに人生と見詰め合っていたのだ。
「わかった、ジゼル、なら晩餐会の護衛はエルヴィンに任せるとしよう。任せてくれるか、エルヴィン。」
「良いでしょう。」
「おい待て。俺も行く。」
「うむ。なら、晩餐会はエルヴィンとリヴァイ。お主らにジゼルの護衛を任せたぞ。頭の弱い貴族共からジゼルをしっかりと護ってやってくれい。」
豪快に笑ったピクシスにリヴァイは歯を食いしばり苛立ちを隠した。ジジイに嵌められた気分だ、とリヴァイは目の前の料理を強く睨みつける。そしてジゼルが出したその答えに動揺しつつも表情が元々貧しいリヴァイはそれを簡単に隠す。晩餐会が世間を知る第一歩になるのかは分からないがジゼルがそう望むのならそうするしかないのだろう、とエルヴィンはジゼルをみて頬を緩ませた。
「ジゼル、君の勇気ある選択に心からの敬意を。」
「……エルヴィン団長。大袈裟です。」