so ist es immer【Levi dream】
第2章 girl of hope for mankind
だからこその話だった。エルヴィンは予想が当たってしまったと葡萄酒を口に含み動揺をかき消した。が、リヴァイはどうやら違うらしい。リヴァイは眉根に皺を寄せ三白眼でピクシスを睨んでいた。
「ジジイ。ジゼルに自由を与えてやると言ったあの言葉は嘘か。」
「まさか。あれが本心じゃ。だがジゼルだって世間を知る必要がある。アシュリーがジゼルから取り上げていた時間をそろそろ取り戻してもいいだろう。アシュリー一家はそこらの貴族と変わらない資産家だ。ジゼルが健在だったなら恐らく晩餐会も参加していたじゃろう。」
「それがお前の言う自由というのなら、とんだ綺麗事だな。反吐が出る。」
「……何とでも言わんか。だが、ジゼルが決める事だ。儂とて無理強いするつもりなど毛頭ない。」
「それが綺麗事だと言っているんだ。こいつはこいつの思うように生きていけばいい。今更あんな泥まみれの貴族の連中に飼われてそれこそが幸せだというお前の神経を疑う。」
「……リヴァイ、やめるんだ。」
鋭い殺気をピクシスに向けたリヴァイにエルヴィンが冷や汗をかきながらリヴァイを止める。ジゼルはといえばそんな状況の中、頭を必死にフル回転させた。ジゼルの中での答えは決まっている。調査兵団に務め、立体機動装置の点検や整備をこれから行っていきたい。それがジゼルの生き方だと、もうジゼルは心得ている。
「……ピクシスさん。あたしは、あたしは調査兵団の一員です。兵士ではないけれど調査兵団の一員として心臓を捧げた身。…それにきっと、あたしは貴族の方とのお付き合いは向いていません…。」
「ほう、何故そう思う?」
「分かりません。ですが、立体機動装置に触れている時確かに心が休まるんです。」
「もう一度聞くぞ。……新型立体機動装置を完成させた後にしたい事とはなんじゃ?」
「……恐怖に立ち向かい、死に対面しながらも真正面から巨人に立ち向かう勇敢で誇り高い兵士達のためにあたしはさらなる技術を求めます。それはきっと調査兵団でしか出来ない仕事です。」
そういったジゼルにあの頃の尊さ儚さはなかった。それはもう、強く決断した力強い瞳。金色がピクシスを強く射抜く。ピクシスはそんなジゼルの瞳に目を見開け、黒髭をさらり、と撫でた。エルヴィンやリヴァイもジゼルのその言葉に目を見開き息を止めた。調査兵団をそう思う人間は少ない、否、ほぼ居ないだろう。