so ist es immer【Levi dream】
第2章 girl of hope for mankind
ピクシスは注文した数々の料理をエルヴィンやリヴァイ、ジゼルの皿に盛っていく。魚や肉がふんだんに使われてあるがエルヴィンとリヴァイは口にせずジゼルとピクシスの会話を聞いていた。
「ジゼルよ、お主の才能は儂らも認めておる。ただ、新型立体機動装置が完成すればジゼルはどうしたい?」
「あたし、ですか……?」
「うむ。お主の意見も聞いておきたいと思ったのじゃ。お主が調査兵団にて活躍するのなら文句は言わん。だが、人の死に直面する機会が多い調査兵団組織でお主の精神が壊れないか矢張り心配でな。ジゼルの桁外れの精神力は儂らも認めておるがそれとこれとは話が違うじゃろう?」
「……」
ジゼルはピクシスを見上げて口を閉ざす。ピクシスはジゼルが新型立体機動装置を完成させたと同時にジゼルの将来を不安に思っていた。ジゼルがこのまま調査兵団に居ても良いのだが、調査兵団は不安定な状態でギリギリに保たれている組織。いつ、誰が、死ぬのかわからないそんな不安定の中でジゼルはまともに人間性を保ちながら成長してくれるのか、心配だった。
だが、その心配も今日までだ。
「…嫌ならハッキリ申してくれて構わん。儂が見た限りお主はエルヴィンやリヴァイにとても大事にされている。…特にリヴァイはとんでもなくジゼルに甘々じゃ。」
「……その無駄な口を今直ぐ閉じろ。クソジジイ。」
「ほっほっ。だが本当の事じゃろうて。」
だが、それでも。ピクシスはあるひとつの提案を俯いているジゼルに放った。
「ジゼル。今度クロウド公爵家の晩餐会がある。アシュリー博士の愛娘を披露する会じゃ。」
「……ッ、あたしの披露?」
「貴族と言っても全員が頭の悪い貴族だとは限らん。稀に、極稀にジゼルを大切に大事にしてくれる貴族も居るじゃろう。アシュリーにはとんでもない遺産がある、その遺産はジゼル、お主の物じゃ。その使い道はジゼルが決めるといい。」
「……」
「晩餐会に行っても調査兵団から異動したくないというのならそれはそれで構わん。…ただ、少し強引かと思うがお主にはもっと視野を広くし世間を見てもらいたいと思ったのじゃ。」
遠い目をしたピクシスの言いたいことはよく分かった。エルヴィンは小さく息を吐いた。何となくだが予想はしていたのだ。ピクシスはジゼルを娘同然に可愛がっている。だからこそ。