so ist es immer【Levi dream】
第2章 girl of hope for mankind
エルヴィンの力になれるもんならなってやりたいがどうやら自分はとことん貴族とは合わないらしい。どこの誰かもわからない女と体を交じ合わせるなど潔癖症のリヴァイにはこれ以上にない苦痛に違いない。巨人に食われていた方がマシだ、と思わせてしまうほどに。
できればもう二度と参加したくない晩餐会を思い出して顔を顰めたリヴァイに誰も気づく事なく騒がしい居酒屋の中へと足を踏み込んで行った。ピクシスが顔見知りの店主に何かを告げるとすぐに空いている席に案内された。
「エルヴィン、リヴァイ、お主らは飲むかのう?」
「頂きます。リヴァイはどうする?」
「俺はいい。」
「そうか、なら、」
葡萄酒をひとつ、と注文したエルヴィンとピクシス。ジゼルはといえばオレンジジュースをひとつ頼んだ。リヴァイはお冷を頼む。
「にしてもリヴァイ、お主いつの間に酒をやめた?」
「辞めてねえ。飲みたい気分じゃねえだけだ。」
「……それはジゼルがいるからかのう?」
「…関係ない。」
リヴァイはピクシスから視線を逸らす。ピクシスはリヴァイの心境を理解したのか至極愉快だと言うように手元に届いた葡萄酒を一気に飲みながら笑う。ピクシスの掌で転がされているような錯覚に陥ったリヴァイは心の中で盛大な舌打ちを零した。だから、嫌なのだ。ピクシスはリヴァイの心を読み取ってしまう。リヴァイは自分の心を読む人間を心底嫌う。ピクシスもまたその1人なのだろう。
それにピクシスの言ったことはあながち間違えではなかった。自分がもし酒に酔ってしまえばジゼルを無事に送り届ける事が出来ない。ジゼルにみっともない姿を曝け出す事に気が引けたリヴァイは目の前にある透明な水を睨んだ。
「ジゼルよ、調査兵団での生活はどうじゃ。慣れたか?」
「はい!みんなとても優しくしてくれています。今は新型立体機動装置の開発で忙しいですけど、開発部と技術部の皆さんのおかげで思っていたより早く仕上がりそうです。」
「なら、良かったわい。作業は楽しいか?」
「はい!」
嘘偽りのない笑顔のジゼルをみてピクシスはほっと安堵の息を落とした。そして飲んでいた葡萄酒をテーブルに置き注文していた色とりどりの料理を皿に盛る。