so ist es immer【Levi dream】
第2章 girl of hope for mankind
エルヴィンが仕事に追われているのは知っている。調査兵団の資金援助の為、貴族の奥方に身を売って夜な夜な一夜を共にしているのを知っているリヴァイとピクシスはなんとも言えない視線をエルヴィンに向けた。
リヴァイも一度、貴族の晩餐会に参加させられたことがあったが潔癖症のリヴァイに貴族の相手は務まらなかった。貴族の狡賢い思考や鼻を劈く匂いはどうも好きになれなくて。抱いて欲しいと迫られた時にはなんということかその貴族を蹴飛ばし気絶させてしまったのだ。
それからリヴァイはエルヴィン1人に資金援助を任せてしまっている。エルヴィンもリヴァイには務まらなかったか、と1人でこなしてはいるが一日に何人もの女を相手にしていれば疲れてしまうのも仕方がない。
ジゼル、ピクシス、リヴァイはエルヴィンの元へと歩く。近づいてもエルヴィンは起きる気配もなく、このまま寝かせた方がいいのかとすらも思ってしまうほど。だが、そういうわけにもいかなくて。
「おい、エルヴィン。起きろ。」
「……」
リヴァイの低い声が響く。その声が届いたのかエルヴィンは眉根に皺を寄せ少しずつ瞼を持ち上げていく。その青色に澄んだ瞳がリヴァイ、ピクシス、ジゼルを捉えると徐々に脳みそは覚醒していき頭を抱えながらベンチから立ち上がる。
「エルヴィン。……苦労しておるのう。」
「……申し訳ありません。ピクシス司令。みっともない姿を。」
「気にせんでいい。お主の立場も理解しておるつもりじゃ。堅苦しいのはやめて楽にしてくれ。」
頭を下げたエルヴィンを制したピクシスは首を横に振るとピクシス行きつけの居酒屋へと足を進めていった。エルヴィンはまだ少ししか覚醒していない頭に鞭を打つ様にしてこめかみを抑える。ピクシスやリヴァイが思っていた通り、精神的にではなく体力的に疲れていた。疲労感がどっとエルヴィンを襲う。
「エルヴィン団長、顔色が悪いですが…。」
「ん?ああ、気にしないでくれ。最近眠れていなくてね。仕事に追われてしまっているだけだ。少し仮眠を取ったから大分と楽になった。ありがとう、ジゼル。」
心配の色を宿すジゼルにエルヴィンは小さく笑うとピクシスの背中を追い掛けたのだった。リヴァイはエルヴィンのいう貴族の晩餐会、基、貴族の性欲を吐き出す会を思い浮かべてちっ、と小さく舌打ちを零す。