so ist es immer【Levi dream】
第2章 girl of hope for mankind
まずい。全然わからない。というようにリヴァイは店内を見渡し小さく息を吐いて刈り上げた黒髪を気怠そうにかきあげた。金色の双眸を揺らしたジゼルが視界の端に映る。
「悪い。お前の言う茶葉の種類がわからねえ。」
「ええっ!」
眉根を顰めたリヴァイにジゼルは驚愕の声を上げる。それも当然だ、リヴァイの持っている茶葉の種類は多い。色々な種類からジゼルが気になっているという茶葉を一つだけ当てるというのはとても難問だった。ジゼルはといえばがっくし肩を落とした。楽しみにしていたのだ。リヴァイの淹れてくれる紅茶はとても美味しいのだがその中でもダントツに美味しかった紅茶。
「……お嬢ちゃん。どうやら困ってるみたいだけどそれなら最近新しく入ってきた茶葉はどうだい?」
困り果てていたジゼルとリヴァイの間に割って入ってきたのはこの店の店主だった。店主は控えめに会話に入り、新しく入ったという茶葉を手に取りジゼルの目の前まで持って言った。
「とてもいい香り、これは…?」
「これはアールグレイという茶葉だよ。ここにちょこっとだけ蜂蜜を入れてやるとまろやかで甘みのある紅茶に仕上がるんだ。今ならまらおまけしておくよ。」
そういった店主にジゼルは満面の笑みを見せてそれ下さい、と財布を取りだした、がリヴァイがジゼルの小さな手に自分の手を重ねた。
「兵士長?」
「俺が出す。」
「え?いや、そんなっ。」
「さっきの詫びだ。気にするな。」
そういったリヴァイは店主にお金を差し出した。さっきの詫びという言葉にジゼルはピンと来た。きっと、茶葉屋に入る前リヴァイがジゼルを怒鳴ったことだろう。ジゼルはそんなリヴァイにくすり、と微笑んだ。リヴァイはとても優しい。時に恐ろしいけれど、とリヴァイの背中を見詰めた。蜂蜜も一緒に購入してくれたリヴァイに目を見開いたが初めての茶葉を抱き締めて上品な香りを堪能しながらジゼルはリヴァイを見上げた。
「ありがとうございます!リヴァイ兵士長!」
「俺もアールグレイに興味がある。また淹れてくれないか?」
「はい。喜んで。」
ふ、と笑ったリヴァイ。茶葉屋の店主がリヴァイの笑っている姿を見て口をあんぐり開けたと同時になんだか心が暖かくなり、店を出ていくふたりをみて目を細め微笑んだ。