so ist es immer【Levi dream】
第2章 girl of hope for mankind
怒りと苛立ちを含んだリヴァイの声にジゼルはぐ、と口篭る。
「……紅茶、を、」
「あ?」
「……茶葉を買いに行きたいんです。その、リヴァイ兵士長が愛飲している紅茶がとても美味しくて…。以前から気になっていたので…。」
「……」
涙目のジゼルが顔を上げる。まさかリヴァイが愛飲している茶葉を買いに行きたいと言い出すとは思わなかったのかリヴァイは少しだけ目を見開いたあと、ジゼルの潤った瞳を見て視線を逸らした。ジゼルは目の前に佇んでいる茶葉屋を指差して再度、エルヴィンとリヴァイを交互に見詰めた。
「そうだったのか、ジゼル。リヴァイがいつも使っている茶葉なら確かにこの店に売っているだろう。ジゼル、リヴァイと一緒に見てきなさい。私は此処で待っているとしよう。」
エルヴィンがジゼルの頭に手を置いて撫でるとしれ、と視線を逸らしているリヴァイを射抜く。リヴァイは感じた、長年付き合いのあるエルヴィンだ。その視線がジゼルに謝れ、と訴えている。だがリヴァイは謝罪の仕方すら知らない。ジゼルはリヴァイを見上げると数回瞬きを繰り返した。
「リヴァイ兵士長、一緒に来てくれるんですか…?」
「…………ああ。分かった。」
バツの悪そうな顔をしたリヴァイの返事にジゼルはぱあっ、と明るい笑みを見せた。嬉しそうにその店に近づいていくジゼルの背中を見詰めながらリヴァイもその背中を追い掛ける。そんなふたりの背中を見送ったエルヴィンははあ、と溜息を零し、こめかみを揉んだ。そして近くにあったベンチに座ると腕を組み少しだけ仮眠しよう、と目を瞑った。風が運んできた様々な茶葉の匂いを嗅ぎながら。
「リヴァイ兵士長がいつも使っている茶葉ってなんて言う名前ですか?」
ジゼルは念願の茶葉屋に目を輝かせながらリヴァイを見上げる。リヴァイはそんなジゼルを視界に入れ辺りを見渡す。
さあ、なんだったか。
茶葉を集めるのがリヴァイの趣味である為、ジゼルが気に入っているという紅茶が全然わからないリヴァイは宙を眺めながらジゼルに淹れてやった紅茶を思い出す。
「……リヴァイ兵士長?」
「…ちょっと待て。」
「?はい。」
首を傾げたジゼル。宙を睨むようにして考え込むリヴァイに店主は冷や汗をかきながら金色の少女と圧倒的な威圧感を醸し出すリヴァイの成り行きを見守っていた。