so ist es immer【Levi dream】
第2章 girl of hope for mankind
「あのジジイが、か。」
「リヴァイ、お前のその口の悪さもどうにかならんか。」
「馬鹿言え、エルヴィン。そんな事今更だろ。」
片眉を釣りあげたリヴァイにエルヴィンは苦笑いを零した。リヴァイの無礼さはこの三兵団の中では有名だ。だが誰も人類最強に言えるはずもなく。ピクシスやザックレー総統、その他の偉人はリヴァイのその無礼さに対して何も言わなかった。まあリヴァイが敬語を使っているのなんて見たくもない気がするが。
「ピクシス司令はジゼルの親代わりみたいなものだ。ジゼルが気になって仕方ないのだろう。」
「勝手を言いやがる。」
「まあ、そう言うなリヴァイ。ジゼルはもう気にしていない。ジゼルは前に向かって進んでいるんだ。」
「……分かっている。」
その言葉に目を伏せたリヴァイはハンジに質問攻めにあっているジゼルを一瞥すると今度こそ食堂を後にした。あんな真っ白でなんの汚れもない空間は確かに神秘的だがそれは実際に人々が目にしたら、の話。実際、そんな空間に閉じ込められてしまえば人間性を保つことすらも困難で。
初めてあった時のジゼルを思い出す。顔の筋肉は使っていなかったのか最初は気味の悪かったぎこちない笑顔。真っ白な空間の真ん中に座っていたジゼルは天使だと、そう思った。だがその心に秘めているものはとてつもなく黒くて。自分で命を何度も経とうとしたと言ったジゼルはとても儚くて。
金色の艶やかな長い髪がジゼルを照らし、その色と同様の瞳から透明で綺麗な雫が溢れた時。
守りたいと、傍で守ってやりたい、と思った。
地上に舞い降り、容赦なく自身を照らす太陽に目を眩ませたジゼルを、天使だと、綺麗だ、と純粋にそう思った。
リヴァイは自分の掌を見詰めると目を細めた。次々と通り過ぎていく兵士がリヴァイに敬礼するもリヴァイは気づいていないのか、はたまた無視を決め込んでいるのか、そのまま歩く足を止めず自室へと向かっていくリヴァイに首を傾げた後輩兵士達は気にしない、とリヴァイを通り過ぎていく。
瞼を閉じれば花のように微笑むジゼルが居た。頬が夕日に輝きそれはまるで一刻ずつ姿を変えていく夕日のように眩しく、儚くて、綺麗な笑顔だった。