so ist es immer【Levi dream】
第2章 girl of hope for mankind
「間もなく、リヴァイが君を本気で削いでしまいそうだ」
そう苦笑いで言ったエルヴィンにハンジは唇を尖らせた。確かにエルヴィンの言う通りリヴァイを取り巻く空気は真っ黒であって食堂をピリピリとした堅苦しい雰囲気に包んでいた。リヴァイの不愉快極まりない、というそのオーラに他の兵士たちは食事をゴクリ、と飲み込みリヴァイを遠巻きに見詰めた。
「えー?エルヴィンも硬いなあ。だってさ、リヴァイをからかうの楽しいんだもん。それにエルヴィンだって珍しいと思わない?あのリヴァイが!あのリヴァイがジゼルと一緒に食事をしてるんだよ!?考えられないって」
「……それくらいにしておいてあげなさい。リヴァイとハンジに挟まれているジゼルが不憫だ。」
リヴァイは限界が来ているのかハンジに向けて青筋を浮かばせた。そんなリヴァイを手で制したエルヴィンにハンジはつまんない、というようにして小麦のパンを齧る。だがその視線はジゼルを見詰めていて。ハンジは心の奥底で思う、これは面白いことになりそうだと。
「エルヴィン、こいつを異動させたらどうだ。」
そう言ってまだ機嫌が治っていないリヴァイの鋭い三白眼がもぐもぐと食事をしながら好奇心を抑えきれていない様子でジゼルを見詰めているハンジを見た、否、睨んだ。
「酷いなあ、リヴァイ。私は至って真面目だよ。」
「は、何処がだ。クソみてえなその脳味噌は遂に機能しなくなったか。」
「ひっど!!」
三白眼が容赦なくハンジを射抜く。ハンジは気にも留めていないのかリヴァイの視線を素早くスルーした。なんだかんだ言いつつもリヴァイとハンジは仲がいい。いや、リヴァイは兎も角ハンジはリヴァイを幾度となく死線をくぐり抜けた戦友だと言っていた事を思い出したエルヴィンは苦笑いを零しながらこの雰囲気を堪能しているジゼルを見て頬を緩ませた。
「ジゼル、リヴァイは優しいか?」
「えっ?リヴァイ兵士長、ですか?」
エルヴィンのその言葉を聞いてリヴァイはハンジからエルヴィンに視線を移す。その視線はお前の頭も遂にイカれたかと言っていたがエルヴィンの青い瞳はジゼルに向いたまま。ジゼルはスープをゴクリ、と飲み込むと大きく頷いた。
「はい!リヴァイ兵士長は優しいです!エルヴィン団長、ハンジ分隊長も優しくて、調査兵団は温かいです。とても。」