so ist es immer【Levi dream】
第2章 girl of hope for mankind
ジゼルはリヴァイの綺麗すぎる執務室に圧倒されながらも辺りを見渡す。リヴァイは執務室に誰かがはいり居座るのを極端に嫌う。以前、壁外調査前夜に自分を抱いて欲しいと尋ねてきた女兵士がいたが追い出したのを思い出した。どうやらエルヴィンはその様子を見ていたらしく潔癖症過ぎるリヴァイの性格に苦笑いを零したものだ。
だが、今はどうだ。
ジゼルがこの部屋に足を踏み入れても嫌悪感はない。むしろ、ジゼルが来たことによってリヴァイを取り巻く空気は少しだけ柔らかくなっているような気がした。その長い髪が床に落ちたとしても自分は気分を害しないだろうという妙な自信を抱えながらリヴァイは空いている席にジゼルを座らせた。
「えと、リヴァイ兵士長。あたしはいったい何を?字を書く事なら出来ますがその…、お恥ずかしながら長い文章を読むのが得意ではなくて…」
「……ああ。冗談だ、仕事をさせたくて呼んだわけじゃない」
少しだけ気まずそうに、否、少し寂しげに微笑んだ彼女にリヴァイは目を伏せながら目の前に並んでいる書類を端に寄せた。あんな地下室に数年も閉じ込められていたのだ、文章を読むのが得意でないと言われても仕方が無い。読み書きを教えてくれる人物がいなかったのだから。リヴァイはそんなジゼルを遠目に見詰め、地下街にいた頃の自分を思い出していた。
リヴァイとジゼルの育った環境はいい意味でも悪い意味でも似ていた。だが、その環境は良くも悪くもリヴァイとジゼルの距離を少しずつだが縮めていっていたのだ。ジゼルはリヴァイが地下街出身だとは知らないはずだがジゼルもリヴァイと同じ様にリヴァイだけ、距離を置くこと無く接する事が出来た。怖い人には変わりはないのだけれども。
「あの、リヴァイ兵士長。新型立体機動装置が完成したら1番に使ってみてはくれませんか?」
「…俺がか?」
「はい。この兵団の中で立体機動装置の扱いがうまいのはリヴァイ兵士長だとエルヴィン団長からお聞きしました。なら、新型立体機動装置を1番に兵士長に試してもらいたいんです」
「ほう。それは俺に実験台になれと言っているのか?」
「っ、ち、違います!!ただ純粋にリヴァイ兵士長に使って頂きたくて…。その、矢張り駄目でしたでしょうか?」
嫌味ったらしい自分の口を縫い付けたくなった。リヴァイは紅茶を飲む手に力を入れる。ジゼルは不安そうに金色の瞳を揺らした