so ist es immer【Levi dream】
第2章 girl of hope for mankind
リヴァイは人類最強という肩書きを持っているのだがその肩書きゆえの憧れや尊敬を抱いて調査兵団に入団して来る者もしばしば居るらしい、が実際のリヴァイという男は思ったよりも小柄で粗暴、横暴。だけどそのミステリアスな雰囲気に圧倒される者も居る。
そんなリヴァイの性格溢れた汚れ1つのない扉を見詰めたジゼルは薬と小さく笑う。そして迷う、呼ばれた立場なのだがリヴァイの執務室にどうやって入ればいいのだろうと。否、どんな顔をして入ればいいのだろうと。ふと、臭いと言われてしまったことを思い出し自分の体をくんくんと匂う。
「くしゅんっ」
まだ髪の毛も乾かしていないからか盛大なくしゃみをお見舞したジゼルに扉ががちゃり、と開いた。
「…来ていたのか」
「……はい」
目を少しだけ見開いたリヴァイはジゼルが来てくれたことに柄にもなく喜んでいた。そんな自分を苦笑いし、そしてジゼルの今の格好を見てさらに目を見開ける、と同時にちっ、と舌打ちを零した。
「なんだその格好は」
「……すみません、早く行った方がいいのかと思って…」
「風邪を引かれたら面倒だろう。ガキが。髪くらい乾かしてから来い」
「……はい」
その言葉にジゼルは肩を落とす。困らせたかった訳では無い。一方、リヴァイももう一度ジゼルの格好を見下ろした。兵団の中で最も珍しい人種に入る彼女は欲求不満な兵士達の餌食に一瞬でなるだろう。そして彼女はそれを交わす術を知らない。所謂、武器も何も持たない兎同然だ。
今朝、食堂で兵士たちに囲まれていたジゼルを思い出す。本人は居づらそうにそして不安そうに助けを求めていたのだがどうやらエレンとミカサ、アルミンが必死にジゼルを庇っていた、筈。それでも兵士達は美しい容姿を兼ね揃えたジゼルの姿を目に焼き付けようと必死にジゼルに自己紹介していたのを思い出して溜息を吐く。いつもエルヴィンやリヴァイ、ハンジと行動を共にするジゼルにほかの兵士は近付きにくかったのだ。
「……」
「あの、リヴァイ兵士長」
「あ?」
「えっと、なにかお仕事のお手伝いでも?」
「…なんだ、まだ働き足りねえか?」
「手伝える事があるなら手伝いますよ!」
そう言って微笑んだジゼルは穢のない笑みをリヴァイに向ける。リヴァイはふ、と鼻でジゼルを笑った後、その格好ではまずいだろうと執務室の中へと入らせる。