so ist es immer【Levi dream】
第2章 girl of hope for mankind
あれだけ意気込んで掃除を自ら手伝うと言ったジゼルにちょっかいを出してないといいが、とリヴァイの脳内にちょっかいを出すハンジを思い浮かべた。が、すぐさま想像できてしまうその映像に眉根に皺を寄せる。案の定、焦げ臭い部屋の窓に顔を張りつけながら狂気的にジゼル、と名を叫んでいるハンジを見付けたリヴァイは足早にハンジに近づく。
ジゼルは掃除はもういいと言われたのか高い位置で括っていた髪の毛をふわりと下ろしハンジと俺の目の前に来た。さらり、と金髪の柔らかな髪が揺れ、広がるその美しい光景に一瞬息をとめた、と同時に先程のハンジとの話し合いとジゼルの拗ねた素振りを思い出したリヴァイは罰の悪そうにジゼルから視線を外す。
「ハンジ分隊長、どうかされましたか?」
「ん?…いやあ、ジゼルが可愛すぎてつい、ね。ってそれよりも!ジゼル、掃除はもういいのかい?」
「あ、はい。もうある程度は終わったので大丈夫だと…」
まだ手伝う気ではいるもののジゼルだったが部屋の中を覗けば随分と綺麗になったその部屋にもう自分は不必要だと理解する。ハンジの横にはリヴァイもいてジゼルは先程の臭い、という言葉を思い出しむっと唇を尖らせリヴァイから少し距離を取る。そんな行動を示したジゼルを見て、リヴァイは不機嫌全開で舌打ちを落とし俯いているジゼルを鋭い三白眼で睨み下ろす、が。
「ジゼル。こんな不器用リヴァイは放っておいてお風呂行こう?ふふふふふ、ジゼルの背中流してあげるよっ!」
「……?はい、お願いします」
リヴァイの目の前に立ったハンジはジゼルの頭を撫でる。その不器用で気味の悪いハンジの笑みに気が付いていないのかジゼルは大きく頷きながら少しだけ黒くなっている頬を触る。本人も風呂に行きたくて仕方が無いのだろう。ジゼルはリヴァイを視界に移しぺこりと小さく頭を下げてハンジと共にこの場から背中を向けた。
「おい、ガキ」
「…」
「風呂が終わったら俺の執務室に来い」
「…?」
首を傾げたジゼルの金色で吸い込まれそうなその瞳を真っ直ぐ見つめ返すことが出来ないまま、リヴァイはハンジとジゼルの横を通り過ぎた。
「素直じゃないねえ、リヴァイ」
うるせえ。下らない事は自分が一番わかっている。そう舌打ちを零したリヴァイにハンジは笑いを堪える様にして肩を震わす。果たして、こんなリヴァイを見るのは何年ぶりだろうか。