so ist es immer【Levi dream】
第2章 girl of hope for mankind
背中を壁に預けたリヴァイが短く息を吐き宙を睨む。その瞳には自分の不甲斐なさに後悔している色を宿していた。ハンジはジゼルがあれだけ不貞腐れてしまうような言葉をぶつけたリヴァイに詰め寄るもリヴァイはハンジを空気扱いしているのかさっきから1度もハンジを見ない。
「ねえ教えてよリヴァイ」
「…」
「ねーえ!!!!!」
「…」
「リヴァイリヴァイリヴァイリヴァイリヴァイリヴァイリヴァイリヴァ……、」
「黙れクソ眼鏡」
「なんて言ったのぉおおおおぉおぉぉ?」
「いい加減にしろ、そのクソみてえに使い物にならない頭でよく考えろ」
「リヴァイの考えてる事なんて理解できるわけないでしょ?言っとくけど、ジゼル、めっちゃ怒ってるよ」
「…」
あの心優しいジゼルにかぎってそんなことはないとおもうが、リヴァイ弄りが楽しくてそう言ってやればリヴァイはまたもや眉間に皺を寄せて足元を睨む。どうやら相当堪えているらしい。ひねくれた言葉をぶつけたかった訳では無かった。ただゆっくり休めと言いたかった。なのに自分の口からは思ってもないことがつらつらと出てきて。この歳にもなって感謝と謝罪、人への労り方が分からず感情を素直に伝えられない自分が情けなく感じた。
「……臭えっつった」
目の前のハンジにうんざりした声と顔でそういえばハンジは口をポカーンと開けて腕を組む。矢張り臭いはきつかったか。臭いわけがない、調査兵団の為に力を尽くしてくれている証拠だ。金色の髪が額にベッタリとついているのも他人のならば吐き気がするんだろうがジゼルのは全くと言っていいほどしなかった。異常な潔癖性のリヴァイが汗にベタついたジゼルの頭を自ら撫でたのだから。
「……それは言っちゃいけないよねえ」
ああ。分かってる。だからこそ、どう撤回していいのかもわからない。悪かった、すまなかった。そうひとこといえばいいだけなのにその言葉を上手く表せない自分が途轍もなく惨めで、情けなくて、ちっぽけで。次第に苛立ちを帯びてくるこの暴力性に舌打ちを打つ。
「リヴァイ、ジゼルに謝らないとずっとそのまんまだよ。今回のはリヴァイが悪い!完全に!」
ピシャリと言い放ったハンジにわかってる、とだけ答えてリヴァイは踵を返していく。その背中はいつもよりか小さく見えてハンジはいじめすぎたか、と心の中で真っ赤な舌を出す。