so ist es immer【Levi dream】
第2章 girl of hope for mankind
背中を向けたジゼルがボサボサになった髪の毛を揺らす。リヴァイは咄嗟にジゼルの腕を掴んで動きをとめた。
「お前は被害者だろ。わざわざ行かなくていい、それに風呂に入れ。腐え」
「な、臭いって…。でも、あたしも一応開発部と技術部の一員ですから」
しゅん、と肩を落としたジゼル。違う、こんなひねくれた言葉をぶつけたかった訳では無い、とリヴァイは足元を睨む。ジゼルはリヴァイに臭いと言われたのが相当ショックだったのか目を伏せて足元を見詰めた。二人の間に異様な雰囲気が流れる。
「あれ?まだこんな所にいたの?リヴァイ、ジゼル」
「……ハンジ分隊長」
「ん?どうしたの、ジゼル。なんか落ち込んでる?またリヴァイに虐められたの?」
「……虐め、られてはいません」
エルヴィンから聞いたのだろう、ハンジが駆け付けた時には部屋はまあ悲惨で。思わず言葉を失った、がリヴァイとジゼルの間に流れる雰囲気のおかげでハンジはまたか、と苦笑いを零す。リヴァイがどれだけ言葉足らずで不器用なのかは知っているが、ジゼルの落ち込んだ感じを見るとまたリヴァイが何か言ったのだろう、そしてリヴァイ本人の反応を見る限り本人もこんなことを言うつもり無かったのだろう、と勝手に解釈する。
眉根に皺を寄せたまま思い詰めたように足元を見るリヴァイを一発この場で殴ってやりたい、がそんな事をすればジゼルが怖がってしまうとぐっ、と堪えたハンジは惚けるようにして二人を交互に見た。不貞腐れたジゼルの頭をよしよし、と撫でればジゼルは目を伏せたまま。
「……片付け、手伝ってきます」
とぺこりとお辞儀をして開発部と技術部が作業する部屋へと足を踏み入れていった。あんなに不貞腐れてしまったジゼル。リヴァイは何を言ったのか気になって仕方の無いハンジは肘で佇んだままのリヴァイをつつく。リヴァイは面倒臭そうに顔を上げ三白眼をハンジに向けた。その瞳はなんだ、とでも言っているようだ。
「ジゼル、行ったけど」
「……ああ」
……この男は全く、どこまでも不器用だと頭を抱えた。
「なんて言ったの?ジゼル、凄い拗ねてたよ。あれは拗ねてたよ!拗ねてるジゼルも可愛いけど天使みたいに笑ってるジゼルが一番可愛いんだよ!?なんて言ったの、リヴァイイィイイイィ!!」
興味津々なハンジを手で追い払う。だがこんなことで人類の奇行種は手を引かない。