so ist es immer【Levi dream】
第2章 girl of hope for mankind
ファーランとイザベルがいた頃のリヴァイはもっと表情豊かだったような気がした。もう遠い昔の事でその記憶は薄れかけていたが。リヴァイはファーランとイザベルを初めての壁外調査で失ったのにも関わらずそこからどんどんと登り詰め、犯罪者と軽蔑されて調査兵団からも世間からも白い目を向けられていたリヴァイだったが、今では人類最強の兵士、英雄とまで謳われている。
自分の目に狂いはなかったのだ。リヴァイが調査兵団に来てくれたことによって調査兵団はさらに力を身につけた。兵士4000人の力があるとされるリヴァイの存在はエルヴィンにとっても調査兵団にとっても心強かった。だからそんな彼の支えになってくれるというのなら、この2人の未来を見てみたいと、応援したいと柄にもなく思ったエルヴィンは頬を緩ませる。
「あ?何をニヤついてるエルヴィン」
「…微笑ましい光景だと思ってな」
「気持ち悪ぃな」
「もっと気遣ってくれ、これでも仕事で疲れてるんだ」
「……はっ、考えといてやる」
リヴァイはジゼルの頭に手を置きながらそう紡ぐ。果たして、エルヴィンと他愛もない会話をする事があっただろうかと考えたがそんな記憶はなくて。ジゼルが来てから調査兵団には花が咲いたように明るく賑やかになった、としみじみ感じたリヴァイはニコニコと新型立体機動装置について楽しげに話すジゼルを見詰めた。
その時。
「ッ、ジゼル!!危ない!!!」
やけに焦げ付く匂いがする、と悟ったリヴァイのすぐそこでジゼルを呼ぶ動揺の色に染まった声が容赦なく振る。リヴァイは元々持ち兼ねている反射神経でジゼルの頭を下に追いやる。ジゼルはなにがなんだかわからないまま体を下に押し付けられ、尻餅を着いた。
「ッ」
痛みに顔を歪めるジゼルとリヴァイが装着していた立体機動装置のアンカーを抜き刃を抜くとジゼルに飛んできたものを目にも止まらぬ早さで素早く切りつけた。エルヴィンはその冷静な頭で状況を判断し瞬時に辺りを見渡せばそこには真っ黒になった兵士達と。
「レアメタルが焦げた、のか?」
レアメタルを溶かす大釜から黒い煙が溢れ出ているのが視界に入り目を見開く。リヴァイはというと切りつけたレアメタルの破片をちっ、と鬱陶しそうに拾い上げ兵士達を三白眼で睨みあげた。
「危ねえな……」
「も、申し訳ありませんっ!」