so ist es immer【Levi dream】
第2章 girl of hope for mankind
「ジゼル、敬礼はいい。君に敬礼は似合わない」
「そんな事ないです…」
「はは、違うよ。ジゼルは確かに調査兵団一員だ。それも立派で、何よりも心強い。だけど君に敬礼はして欲しくない、と言ったら私の単なるエゴなんだがね」
小さく口を尖らせたジゼルの頭にエルヴィンの大きな手が置かれる。作業の邪魔をするつもりでなかった、と言い終えたエルヴィンは持っていた葡萄酒をジゼルに渡す。ジゼルは?マークを浮かべながらもその葡萄酒を興味深そうに見詰める、が。
「ジゼル、これは飲んではいけない」
「…?」
「ジゼルにはまた今度違った贈り物をさせてくれ。これは度数が高いから悪酔いしてしまう可能性もある、いいね?」
その有無を言わせない言葉にジゼルは高い位置で束ねられた金色の艶やかな髪が揺れる。ジゼルが首を縦に振った証拠である。その時、廊下の向こうからかつかつと足音が聞こえてエルヴィンはジゼルの頭に手を置いたまま足音へと視線を移す。
「あ?」
「リヴァイ兵士長!」
そこには予想外で、否、予想通りと言ったところか。リヴァイが立っていてジゼルを、そしてエルヴィンに視線を移した後、眉根を顰めた。ジゼルはといえばエルヴィンから受けとった葡萄酒を手に取ったまま花が咲いたように笑顔になりリヴァイを見詰める。
どうやらジゼルはリヴァイに懐いているらしい。それはどうしてなのかは分からないがリヴァイもそれを分かっているのかジゼルの瞳に映った自分は少しだけ表情が柔らかいような気がした。
「なんだ、リヴァイ。お前もジゼルの様子を見に来たのか」
「こいつがこのクソみてえな頭でどんな設計図とやらを描いたのか気になっただけだ」
エルヴィンの真っ直ぐな視線を見返してそう言えばエルヴィンは小さく溜息を吐く。だがジゼルは気にもしていないのかリヴァイに駆け寄りにっこりと微笑んだ。
「新型の設計図なら無事に完成しました。取り敢えず目標は1台。それを目指して頑張ります」
「……ああ。精々足でまといにならないようにしろ」
「はい!」
愛らしい笑顔を向けるジゼルにリヴァイは口角を上げジゼルの頭に手を置きわしゃわしゃと撫でる。その不慣れた手つきにエルヴィンはまたもや息を吐くがリヴァイのこんな姿を見るのはファーランとイザベルの時以来か、と心を和ませて二人を見る。