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so ist es immer【Levi dream】

第2章 girl of hope for mankind



開発部と技術部が協力し合ってせっせと働いてくれている今声を掛けるのはいくら調査兵団1の権力者とはいえ気が引けたエルヴィンは手に持った葡萄酒をいつ渡そうかと悩んでいた。作業を手際良くこなすジゼルは心無しかとても楽しそうでそんなジゼルを見ると尚更気が引けた。

傍から見れば彼女の仕草や動作、言葉遣いは何処かの貴族を思わせるが実際には数十年もの間シガンシナの地下室に幽閉されていたという。アシュリーとピクシスは古い仲でウォール・マリアが突破された時本当ならばピクシスが迎えに行ってやらないといけなかったのだが、とピクシスの後悔が滲み出たその報告書を読んである意味リヴァイよりも過酷な過去を持ち合わせているジゼルに同情、した。

それと同時にアシュリーが愛娘のジゼルをなぜあんな地下室に閉じ込めたのか、その理由も送られてきたがジゼルに話すのはなんだか気が引けた。非常、冷酷だと言われるエルヴィンが人間らしさを帯びた目でその報告書を読んでいるのをみたハンジもジゼルの途轍もない過去に口元を覆わずにはいられなかった。ふとエルヴィンの脳の中ではリヴァイが浮かんだ。リヴァイがもしアシュリーがジゼルを閉じ込めた時と関係があるのなら、この話はリヴァイにもしない方がいいと判断したエルヴィンは報告書を引き出しの奥深くに眠らせたのである。

「エルヴィン団長?」

そんな中、開発部と技術部の兵士だろうか。額を汗でベタつかせ、エルヴィンの登場に目を丸くさせた男兵士がエルヴィンを見て、首を傾げる、がそれもほんの一瞬で。ジゼルは団長と兵長と分隊長のお気に入りだと調査兵団全体に出回っている噂を知っていた兵士はあ、と短く声を上げたあと敬礼を崩さないまま扉を開ける。

「ジゼルー、エルヴィン団長だよ」

その声が響き渡り、作業を中断した兵士達が一斉に立ち上がり敬礼する。それを苦笑いで制したエルヴィン。こうなることを予測していたからこそ声を掛けにくかったのだ、と頭を抱えた。

「作業に戻ってくれ、邪魔をしてすまない」

敬礼の仕方がわからないジゼルは見よう見まねで敬礼するが所々間違えていて。そんな初々しくも愛らしいジゼルを見て、他の兵士達が笑う。ジゼルが来てから調査兵団はすごく変わったと思う。其れはとてつもなくいい方向へ。彼女は死と直面する調査兵団の一筋の光、だと言ってもいいだろう。

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