so ist es immer【Levi dream】
第2章 girl of hope for mankind
そしてらしくもなく密かに新型立体機動装置を楽しみにしているリヴァイ。今よりも優れた装置が手に入れば巨人に立ち向かい、命を失う兵士を少しからず減らせるかもしれない。それを踏んだエルヴィンのアシュリー博士の娘をさがしにいく、というほぼ賭けに近いあの苦渋な判断を下した甲斐がある。
失ったものは何も無い。得たものばかりだ、と今更気づいたリヴァイはジゼルの顔を思い出して小さく鼻で笑った。あんなに足取りの軽かった事は今までにあっただろうかと振り返る。壁外調査へ出たはいいが仲間を、同期を失った悲しみに暮れる暇も与えてはくれず壁外に帰ってくれば非難の声を受ける調査兵団。
リヴァイは、気にもしていなかったし眼中にも入れていなかったが矢張りほかの兵士達は違うだろう。同期が死んだから辞退するという話も珍しくはないのだ。それがもし彼女が新型立体機動装置を開発してくれるとなれば調査兵団の死亡率をさらに格段に減らせるかもしれない。
賭けてみるしかなかった。あるひとりの少女に。
「リヴァイ兵長!偶数班と奇数班に別れました!」
「ああ、なら偶数班は俺だ。奇数班はハンジの元へ行け」
「はっ!」
兵士達が立体機動装置を身につけそれぞれの位置につく。立体機動装置の使い方には得意不得意があるのは承知の上だがそれでもガスやレアメタル等、経費削減の為にも無駄なく使いこなせればもうひとつ、いい。特に新兵はガスやレアメタルの消費量が半端じゃないから徹底的に鍛え直していく。リヴァイの班に選ばれたエレン達は立体機動装置で訓練の森を飛び回すリヴァイを見て恍惚の溜息を吐き出した。
「リヴァイ兵長、すげえなー」
とエレンが興奮気味に言う。確かに無駄なく空高く飛べているリヴァイ。戦闘力も立体機動装置の扱い方もどこの兵士よりも圧倒的に優れているだろう。もはや天性の才能、だとしかいいようがない。
「チビだから小回りがきくだけ。あたしだって出来る」
相変わらずリヴァイが嫌いらしいミカサはリヴァイを睨むようにしてエレンの言葉に反抗する。そんな二人を見てアルミンが苦笑いを零すと同時にミカサはリヴァイと目が合う。咄嗟に顔を歪めたミカサだがエレンがミカサの顔を両手で隠す。その事にリヴァイは顔を怪訝そうに歪めるがそれはほんの一瞬で。
「エレン」
「は、はい!」