so ist es immer【Levi dream】
第2章 girl of hope for mankind
「その階段を登れ、開発部と技術部が居るからお前はお前の記憶を頼りに仕事にかかれ」
「……っはい」
リヴァイの手加減なしのデコピンは痛みを引くことを知らない。押さえつけた額は熱を持ち出し、歩く度に大きく響く痛みに顔を歪める。リヴァイとハンジに振り返り、ぺこりと小さく頭を下げるもリヴァイはこちらには一瞥もくれずジゼルから背中を向けた。
勤務時間内に遊んでいた罰、と捉えるべきなのかわからないジゼルは痛みで朦朧とする意識を手放さないようにしなんとか立ち直りリヴァイの指さした階段をトボトボと登った。
「あーあ、あの子の落ち込みっぷり、半端ないよ」
「……」
ジゼルの姿が消えたのを確認したリヴァイは今度こそ仕事に戻ろうと足を動かした、その時だった。ハンジの声が下から聞こえてきて眉根に皺を寄せハンジを見下ろす。それはなにか文句でもあるのか、とでも言うかのように。ハンジはそんな不器用なリヴァイを見て心底苦笑いをした。
「ジゼルにあそこまでする必要はないだろう?それに君は力の加減ってものを知らない、私ならともかくジゼルに君のデコピンをお見舞してやるのは不憫すぎるよ」
「……手加減はした」
歯切れの悪いリヴァイにハンジは短く息を吐くと立ち上がる。
「ジゼル相手だよ?ジゼルは訓練兵でも何でもない、ただの一般人だ。それもかなりひ弱な。そんな子に人類最強のデコピンを食らわせてみなよ、かなーり痛いと思うけど?」
「…」
「謝るんだよ、リヴァイ」
黙って踵を返していくリヴァイは無表情だがその瞳はいつもよりか弱々しくて。笑ってしまいそうになる衝動を必死に抑えてその背中に言葉を被せればリヴァイは返事をせず、そのまま長い廊下へと足を動かせていったのだった。
「全く素直じゃないなあ…… 」
と大袈裟に肩を落とし左右の手のひらを上に向けたハンジはジゼルが消えていった階段をしばらく見詰めた。
「新型立体機動装置、か」
一方ハンジに説教を食らわされていたリヴァイは今太股に立体機動装置を装着し終えた所でそう呟く。確かにこの装置は凄いと思う。地下街でこれを手に入れた時は本当に翼を手に入れたんだ、と思った。見る世界が少しでも変わるのだろうか、とも思った。だがその構造は複雑で。それを1からあの少女が発明してくれるというなら彼女が今この調査兵団の中で1番の有力者である事は間違いない。